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2021年の展覧会、今年の10本

今年見た展覧会の、私的によかったもの10本!毎年恒例で一年を振り返ってみたいと思います。
 
今年もコロナの影響が色濃かった年です。中止や会期短縮になった展覧会も多くありました。作品は会場に並んでいるのに見ることができない……私たちも残念ですが、作り上げる側の無念さは計り知れないです。
 
事前予約が必要な展覧会も増えました。仕事の関係上、予定がつきにくい私としては、空き時間でふらっと展覧会に行く事が多かったのです。結果、予約が取れず行けなかった展覧会もありました。
 
来場者減、コロナ対策などの影響もあってかチケット代が2000円を超える様な展覧会も少なくはありませんでした。予算の都合もあり、高額なものは見に行くのを絞らざるを得ないという本音もあります。
 
そんなこんなで展覧会を見る本数も減りました。そんな中での今年の10本です。※去年までの「今年の10本」のリンクは一番下に貼っておきます。
 
まずはいつもどおり今年の10本、基本的には順位はつけず、見た順番で古いところから書いていきます。
 
 
【今年の10本】
 
阪本トクロウ|デイリーライブス
武蔵野市立吉祥寺美術館 2021/1/9-2/28
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/02/post-109ffe.html
 
吉祥寺美術館は規模としては小さな箱ではありますが、だから一つ一つをじっくり見る事ができて、それがトクロウさんの絵の鑑賞方法にハマっていた感じがあります。年明けに、そしてこんな時期だからこそ、見ていて安心する、どこかで見た事がある、でも視点が新しい、そんな景色を欲しているのかもしれません。 
 
 
冨安由真展|漂泊する幻影
KAAT EXHIBITION 2021/1/14-1/31
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/01/post-c115c3.html
 
印象にとにかく残る展示でした。いろいろな仕掛けがハマっています。正直、資生堂ギャラリーの時は好きな展示なんだけどお化け屋敷の流れでで今後どこまでいけるのか、と言う勝手な心配をしたものですが、この前のいちはらアートミックスの展示などを見ても、スマートながらも印象的なものを残す展示が良かったので、アートフェス系などでこれからひっぱりだこになるのではないかと?
 
 
千葉正也個展
東京オペラシティアートギャラリー 2021/1/16-3/21
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/02/post-a05b89.html
 
アイデアが面白いのはもちろんですが、それを展覧会にするときの手を抜かないその完成度にもびっくりしました。亀が見るための絵画展示。それを見る私たち。亀を見る私たち。私たちを見るカメラ。あれ、亀とカメラは駄洒落で繋がっている?まぁ、とにかく、これなんだろう?と思ってそれが亀の通路だと分かって、それを見せられていたのかと分かった時の衝撃はなかった……。
 
 
複製芸術家 小村雪岱 ~装幀と挿絵に見る二つの精華~
日比谷図書文化館 2021/1/22-3/23
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/02/post-b7dfcf.html
 
日比谷図書文化館と三井記念美術館が小村雪岱展を開催。二つとも満足な展覧会でした。個人的にはごちゃっとした図書文化館の展示が好きでしたのでこちらをあげていますが、二つで一つの展覧会として見ても面白いです。 
 
 
電線絵画展-小林清親から山口晃まで-
練馬区立美術館 2021/2/28-4/18
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/03/post-db83b5.html
 
なかなか企画が面白い展覧会でした。今年あちこちで見た新版画もあったし、それを描くか描かないか、と言う画家の差が面白い。ミスター電線風景、朝井閑右衛門はヤバかった。現代アートもあってとにかく楽しく見る事ができた展覧会です。
 
 
澤田知子 狐の嫁いり
東京都写真美術館 2021/3/2-5/9
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/04/post-57d4d1.html
 
証明写真のあの人が、基本のアイデアを変えないまま大きく広がっていました。あのアイデアだけでは厳しそうだなぁ、と思っていた私が失礼でした。アイデアをここまで膨らませて、レベルアップしていたとは!素晴らしい展覧会であり、素晴らしい作品でした。
 
 
マーク・マンダース―マーク・マンダースの不在
東京都現代美術館 2021/3/20-6/20
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/04/post-212545.html
 
今年の展覧会の中でも、後々まで記憶に残りそうなものでした。良くわからないコンセプトを自分なりに解釈して楽しむ、そんな現代アートならはの楽しさがある展覧会。コンセプトを無視しても単純に見ていても、作品や空間に雰囲気があるのも良いですね。企画展の後に同じ作品を別の構成で再構築した展示、マーク・マンダース「保管と展示」をそのままMOTで開催したのも良かったです。
 
 
あやしい絵展
東京国立近代美術館 2021/3/23-5/16
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/04/post-e5d870.html
 
企画展の濃さでは今年一番だったのではないかと。あやしい、と言うタイトルに負けないあやしい絵が集まっていました。良くぞここまで集めたと言うのもあります。広告ポスターや小村雪岱の絵も出ていて良かった。
 
 
イラストレーター 安西水丸展
世田谷文学館 2021/4/24-9/20
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/08/post-c08578.html
 
安西さんが自分で企画した様な楽しい展示。安西さんの雰囲気を感じる事ができる様な作品達。シンプルで印象的なその絵達は今でも記憶に残っていくもの達ばかりでした。一つ一つが全て魅力的な展覧会でした。
 
 
ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?
ポーラ美術館 2021/9/18-2022/3/30
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/12/post-e9421b.html
 
素晴らしい展覧会。こちらも後々まで記憶にはっきりと残りそうな展覧会です。見た目だけで見ても美しく楽しめる。意味合いを解釈しようとしても楽しめる。現代の展示ではそのバランスが両方取れている展示が心に残っていくものになるのかもしれません。まぁ、そんな難しいことを考えなくても好きな展示でした。それだけでも良いのかもしれません。
 
 
ここまでが今年の10本です。これ以外にコメントしたい展覧会を幾つかあげます。
 
 
 
【トピックス】

移転のため、現在の地では最後の展覧会に滑り込む事ができたのが静嘉堂文庫美術館「旅立ちの美術」展武蔵野美術大学美術館「膠を旅する」展も面白かったです。画の材料としての膠をこれほど掘り下げた展示は今までにあったでしょうか?延期により開催がなくなるかと思われた「いちはらアート×ミックス2020+」(2021/11/19-12/26)に友人達と一緒に行く事が来たのも良い思い出。その時に見た市原湖畔美術館「戸谷成雄 森―湖:再生と記憶」展(2021/10/16-2022/01/16)もよかったです。『ミュージアムグッズのチカラ』(大澤夏美 著)と言うグッズに注目した本も発行されてました。
 
「旅立ちの美術」展
静嘉堂文庫美術館 前期 4/10-5/9、後期 5/11-6/13延長
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/06/post-631ba5.html
 
膠を旅する―表現をつなぐ文化の源流
武蔵野美術大学美術館 2020/5/12-6/20
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/06/post-04cfc0.html
 
『ミュージアムグッズのチカラ』大澤夏美 著(国書刊行社)
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/cat4230671/index.html
 
 
 
【西洋美術】
 
西洋美術では印象派とその周辺の美術動向がわかる展覧会をまとめてみる事ができるのが良かったです。三菱一号館美術館「印象派・光の系譜」展Bunkamura ザ・ミュージアム「甘美なるフランス」展ポーラ美術館「モネ-光のなかに」展を同時期にみて印象派に影響を与えた、印象派が影響を与えた動きを見る事ができました。この流れでは事前予約がなかなか取れなかったゴッホ展に行けなかったのが残念。三菱一号館美術館「コンスタブル展」アーティゾン美術館「琳派と印象派」展なども合わせてかなり理解できた気がします。
 
イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン
三菱一号館美術館 2021/10/15-2022/1/26
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/11/post-13b707.html
 
テート美術館所蔵 コンスタブル展
三菱一号館美術館 2021/2/20-5/30
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/04/post-08d704.html
   
 
 
【日本美術】
 
川端龍子作品と現代アートが並ぶ大田区立龍子記念館「川端龍子 vs. 高橋龍太郎コレクション」、三菱系三館の名品が並ぶ三菱一号館美術館「三菱の至宝展」、さすがの企画力なサントリー美術館「ざわつく日本美術」、美術館ではこれは出来ないだろうイベント「北斎づくし」、力の入った東京藝術大学大学美術館「渡辺省亭」展、酒井抱一 夏秋草図屏風と鈴木其一 夏秋渓流図が並んだ根津美術館「鈴木其一・夏秋渓流図」展など良いものも多かったです。
 
川端龍子 vs. 高橋龍太郎コレクション ―会田誠・鴻池朋子・天明屋尚・山口晃―
大田区立龍子記念館 2021/9/4-11/7
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/09/post-f56fdf.html
 
ざわつく日本美術
サントリー美術館 2021/7/14-8/29
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/08/post-1e2494.html
 
北斎づくし
東京ミッドタウン・ホール 2021/7/22-9/17
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/07/post-b92af9.html
 
渡辺省亭 欧米を魅了した花鳥画
東京藝術大学大学美術館 2021/3/27-5/23
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/03/post-8438e5.html
 
 
 
【新版画/挿絵】
 
上の日本画ジャンルの中でも今年は新版画や挿絵、装画などの展示が多かったのが印象的です。小村雪岱はベスト10にもあげていますが太田記念美術館「鏑木清方と鰭崎英朋」たばこと塩の博物館「杉浦非水」など挿絵などに関する展示が多かったです。 そして新版画周辺の動きとしては太田記念美術館「笠松紫浪」東京都美術館「吉田博展」平塚市美術館「川瀬巴水」大田区立郷土博物館「川瀬巴水」SOMPO美術館「川瀬巴水」、そして新版画総集編とも言える様な日本橋高島屋S.C.「新版画ー進化系UKIYO-Eの美」と揃いすぎ。電線絵画展にも出ていましたし、MOA美術館でも吉田博と川瀬巴水の展覧会をやっていますね。
 
川瀬巴水-版画で旅する日本の風景-
大田区立郷土博物館 前期:2021/7/17-8/15、後期:2021/8/19-9/20
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/09/post-45b059.html
 
千葉市美術館所蔵 新版画ー進化系UKIYO-Eの美
日本橋高島屋S.C. 本館 8階ホール 8/25-9/12
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/09/post-1ce0ad.html
  
 
 
【現代美術/建築/デザイン/カルチャー
 
現代アートはベスト10に入れていますが、東京オペラシティ アートギャラリー「ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展」はコロナで企画展が中止になったのをうまく展開していました。目黒区美術館「包む」、国立科学博物館「木組」なども面白かったです。東京国立近代美術館「民藝の100年」は賛否分かれて色々な意味で注目されていますね。国立新美術館「庵野秀明展」のごちゃ混ぜ感も印象に残ります。建築ではパビリオン・トウキョウ2021、世田谷美術館「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」、松濤美術館「白井晟一 1部」、などが面白かったです。隈研吾展、佐藤可士和展などもありましたね。展覧会ではありませんが昨年から引き続きTHE TOKYO TOILETもチェックしています。
 
「ストーリーはいつも不完全……」「色を想像する」ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展
東京オペラシティ アートギャラリー 2021/4/17-6/24
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/06/post-eab91a.html
  
包む-日本の伝統パッケージ
目黒区美術館 2021/7/13-9/5
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/08/post-110364.html
 
パビリオン・トウキョウ2021
新国立競技場周辺エリア9か所 2021/7/1-9/5
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/08/post-5364d5.html
 
アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話
世田谷美術館 2021/3/20-6/20
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2021/06/post-3dc7e1.html
 
  
 
今年見た展示は全部で200本となっています。多い時は300本だったので少ない方ではありますが、コロナだけではなく、私の活動量が落ちているのも正直あるかと思います。もちろん展覧会は数だけではないのですが、数をこなしてわかることも確か。ただ、これからは見方を変えていく、そんな時期なのかもしれません。
 
今年、いろいろ大変な歳ではありましたが、来年は今よりも良い年になります様に。良い年にしていきましょう!
 
 
 
以前2012年に10年間の振り返りと言うのをやりました。10年後2022年にもう一度やろうかと思っていたらもう来年じゃないですか。出来るかな……。
 
過去10年で印象に残った展覧会10本選定
過去10年で印象に残った展覧会洗出し編

 

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