千葉市美術館所蔵 新版画ー進化系UKIYO-Eの美
https://www.takashimaya.co.jp/store/special/shinhanga/
日本橋高島屋S.C. 本館 8階ホール
8/25-9/12
木版画に新たな表現を加えた新版画。最近話題ですが、これ程網羅する形で紹介したこの展覧会は凄かった。少し前の時代、小原古邨などから、伊東深水や川瀬巴水の代表的な作品、独自展開の橋口五葉と吉田博など、風景画、役者絵、美人画まで一揃え。美人画が良かったです。伊東深水の美人画から、目が大きな山川秀峰の美人、しっとり美人の鳥居言人(艶や過ぎ発禁!)、小早川清の危ういモダンガールなど。ここらは皆、鏑木清方に師事してるという。清方の美人画界での影響力が凄いですね。今回は写真がNGでしたのでメモをしっかりと書いていってみます。
プロローグ:新版画誕生の背景
明治時代に石版画や銅版画の人気があり木版画が廃れ、日清戦争で報道錦絵として最後の役割を終えていく。
滑稽堂 秋山武右衛門と大黒屋 松木平吉などのから出ている小原古邨などの木版画が出ている。ここらは精巧な彫りと擦りにより肉筆画に近く版画としての魅力が乏しい。そこで木版画ならではの美を取り戻すべく渡邊庄三郎が復興に取り組む。広重の再摺を見て、浮世絵の美しさに目覚めた渡邊庄三郎。髙橋松亭の下絵で新作を出す。外人相手に売れ行きよく、新版画への資金源にする。大正初めから浮世絵の復刻、そして新版画へ……。
第1章:新版画、始まる
外人の作家に下絵を描いてもらうことで伝承の技に拘る職人を約束事から解放した作品を作る。そして下絵づくりに橋口五葉(美人画)、伊東深水(美人画、風景画)も参加。
第2章:渡邊版の精華
伊東深水が近江八景を作る。これをみて川瀬巴水が新版画の道へ。巴水は塩原三部作を皮切りに新版画を代表する作家へ。役者絵の名取春仙、山村耕花を加え、これで美人画、風景画、役者絵の作家を揃える。ただし、関東大震災で作品や版木が焼け、実験的な作品は出せなくなるが、その後も良い作品を出し続ける。
伊東深水は鏑木清方に入門。手掛けた美人画シリーズは、これは売れたろうなぁと言う魅力的なものでした。川瀬巴水は海外で人気が高く北斎、広重と共に3Hと呼ばれることもある。今年は巴水作品があちこちの展覧会に出ています。そして、電柱描いてますね。
第3章:渡邊庄三郎以外の版元の仕事
その他の版元の展示の中では美人画が目立ちます。山川秀峰は目の大きな美人が魅力的。清方に師事し、門下では深水、寺島紫明と共に美人画三羽烏と称される。
鳥居言人は少ししっとりした美人画です。「朝寝髪」の色っぽさはすごい。艶やか過ぎて発禁になったとか!役者絵の鳥居派8代目で、清方に師事で美人画を学び、最後には八代目鳥居清忠を名乗る。
第4章:私家版の世界
山本耕花の様に震災後渡邊庄三郎の元を離れ自ら版元になり思うがままに制作する作家も出てくる。山本耕花はポスターの様なモダンな文化を描いていた。洋画家 橋口五葉の私家版すべてが展示されている。なんか、女性の目がみな疲れてる気がする。ロセッティに影響受けたという話です。
吉田博は震災で版木を焼失後私家版を制作。洋画の表現を基本とし、光や空気感を描写。最後に小早川清のモダンガール、危うい感じの女性たち。現代女性を描くそれは昭和のネオ浮世絵。小早川も清方に師事。
と言う感じで、ここまで新版画を総括して見せてくれる展覧会が凄いです。そしてこれだけのコレクションを持っている千葉市美すごい。浮世絵を多く持っていることは知っていましたが、新版画まで網羅しているとは。
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