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テート美術館所蔵 コンスタブル展/岩森咲季個展「テツノホシ」

テート美術館所蔵 コンスタブル展
https://mimt.jp/constable/
三菱一号館美術館
2021/2/20-5/30
 
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日本ではイギリスの風景画家と言うとターナーが圧倒的に有名ですが、そのターナーと並びこのコンスタブルもイギリスではとても有名な画家なのです。
 
当時、格上として見られていた歴史画などに比べて、評価が低かった風景画。コンスタブルとターナーは同時代に活躍し、風景画の評価を上げ、そしてライバルとして活躍しました。その二人の対決シーンが今回の展覧会で再現されているのも注目ポイント。
 
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コンスタブルの描く風景画はとてもリアルです。自然を観察し、戸外での制作、数多くの風景や雲のスケッチなどによる描写がとても素晴らしい。展覧会の途中にあった雲の習作やそれらを元にしただろう各風景画、それらの風景画に描かれている空や雲たちの見事さ。常に姿を変えていく雲の姿を切り取って絵の上に再現する技術の高さや観察眼の鋭さが素晴らしいです。
 
さて、同じ風景画家で同時代の天才ターナーの絵も少し出ています。それを見るとコンスタブルとは違うタイプの画家であり、その天才性にも思わず注目してしまいます。そのターナーとコンスタブルの絵が横並びで並ぶある再現展示が今回の展覧会の見どころの一つ。
 
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1832年のロイヤル・アカデミー展でコンスタブル《ウォータールー橋の開通式(ホワイトホールの階段、1817年6月18日)》とターナーの《ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号》が並んで展示されました 。珍しく色彩の多いコンスタブルの絵の横に色味が少ない自分の絵があるのを見て、ターナーは「ヴァーニシング・デー[最終仕上げの日]」と呼ばれる手直しの日、自分の絵の海の上に指で赤い絵の具を乗せていきます。最終的にはその赤い絵の具を海に浮かんだブイとして仕上げたのです。
 
現在では少し赤は色あせてしまったのかそこまで目立たない感じもあるのですが、ターナーのその絵が地味な色合いの絵だけにそこに視線が集まる効果があったのではないかと思います。天才ならではのヒラメキですね。ただ、この時のコンスタブルの絵もロイヤルアカデミー受けを意識したのか、コンスタブルらしさがうまく出ていない絵だった気もします。
 
タイプの違う二人の絵の見比べも出来て、そしてコンスタブルをここまでまとめて見ることができる展覧会は今後もそう開かれないのではないかと思います。貴重な展覧会でした。
 
 
 
岩森咲季個展「テツノホシ」
https://mimt.jp/blog/museum/?p=7570
三菱一号館 歴史資料室
2021/3/16-4/11
  
アートアワードトーキョー丸の内2020の三菱地所章を取った岩森さんの展示です。鉄の彫刻が一号館歴史資料館の重厚な部屋の中の住民の様で、部屋に入ってくる我々を見ている様でした。
 
 

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