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コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画

コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202104_fukutomi.html
東京ステーションギャラリー
2021/4/24-6/27
 
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あやしい絵展、続編ともいえるこの展覧会、福富太郎さんが自分の目で、感覚で集めた絵の展覧会です。日本画が中心ですが、最後の方に洋画もあります。岡田三郎助《あやめの衣》も見ることができるのですが、同じ岡田三郎助の《ダイヤモンドの女》あと、小磯良平の《婦人像》に私は惹かれました。ここらの女性たち、良いです。
 
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とにかく女性があやしく美しい絵が多いです。一番多いのは鏑木清方の絵ですかね。絵を手に入れたら本人に、これ本物ですか?と聞きに行ったというなかなかの強心臓。鏑木清方《薄雪》《妖魚》などの怪しい見ごたえは良いです。
 
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同じ美人画でも上村松園の絵などは少ないです。上村松園《よそほい》などはコレクションの中でもさわやかな美人ですね。前半の展示でも池田輝方《お夏狂乱》《幕間》、松本華羊《殉教(伴天連お春)》、鳥居言人《お夏狂乱》あたり目を引くものはやはり色気が強い。こういうのがお好きなのでしょうか?
 
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北野恒富《道行》、寺島紫明《鷺娘》など魅力的な作品は続きます。しかし、濃い作品が多い。気に入ったら有名な画家でなくても集めているというところがイイですね。
 

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DESIGN MUSEUM BOX展

DESIGN MUSEUM BOX展 集めてつなごう 日本のデザイン
https://www.nhk.jp/p/ts/3477L14VG1/event/3/
Ginza Sony Park
2021/4/10-5/9
 
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NHK Eテレの番組「デザインミュージアムをデザインする」の関連企画。5人のクリエーターが日本各地でデザインの宝さがし。
 
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【岩手】では田根剛(建築家)×御所野縄文博物館 「縄文のムラのデザイン」
https://www.nhk.jp/p/ts/3477L14VG1/blog/bl/pz2m7bZj0X/bp/pEvXnj9kD8/
 
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【金沢】では田川欣哉(デザインエンジニア)×柳宗理記念デザイン研究所 「柳宗理のデザインプロセス カトラリーを例に」
https://www.nhk.jp/p/ts/3477L14VG1/blog/bl/pz2m7bZj0X/bp/pZ1QnxNY0Z/
 
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【浜松】
水口哲也(エクスペリエンスアーキテクト)×ヤマハ イノベーションロード 「トランスアコースティックピアノ 匠とテクノロジーの出会い」
https://www.nhk.jp/p/ts/3477L14VG1/blog/bl/pz2m7bZj0X/bp/pnxzrAR19k/
 
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【姫路】では辻川幸一郎(映像作家)×日本玩具博物館 「ぶちゴマ、そこから広がるさまざまなコマ」
https://www.nhk.jp/p/ts/3477L14VG1/blog/bl/pz2m7bZj0X/bp/pWNyj4DP0m/
 
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【奄美】では森永邦彦(ファッションデザイナー)× 宇検村生涯学習センター 元気の出る館/瀬戸内町立図書館・郷土館 「ノロの装束“ハブラギン”」
https://www.nhk.jp/p/ts/3477L14VG1/blog/bl/pz2m7bZj0X/bp/pzxpn5bEmz/
  
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柳宗理のカトラリーなどはあまり地域特性には関係ない、あくまでもそこで見つけた物という感じだけど、まぁ、それで良いのでしょうかね。もう少し地域の技術や産物、産地などにつながるものに絞った方が良い気はします。
 

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LOUIS VUITTON &

LOUIS VUITTON &
https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/magazine/articles/lv-and#
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2021/3/19-5/16
 
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ルイ・ヴィトンが様々なアーティストとコラボした作品などをまとめて展示していました。
 
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入り口すぐにあったのが池田亮司の作品。
 

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特注トランクはフェルメールの絵を運ぶトランク、ダミアン・ハーストとのコラボのトランクなど。海老蔵のトランクなど。
 
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アーティストがデザインしたテキスタイルの部屋。ジェフ・クーンズとのコラボなど。
 
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ザハ・ハディドがデザインしたバッグ、フランク・ゲーリーの設計した建物、青木淳の銀座並木通店など建築ファンも楽しめます。
 
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川久保玲とのコラボもいくつか展開しているのですね。
 
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ダミアン・ハースト、ジェフ・クーンズ、色々なアーティストとのコラボのバッグ。
 
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リチャード・プリンス、村上隆、ジャン=ミシェル・オトニエルなどとのコラボ作品も。
 
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草間彌生コラボの部屋はすごいですね。
 
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村上隆コラボ作品もかなり量がありました。
 
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そしてファッションショールックの部屋。リチャード・プリンスのナースルック。他にも男性、女性それぞれ服装出てますね。
 
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猫が居ました。猫。
 
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山本寛斎から最近のデザイナーまでのコーナー。インタラクティヴ展示もありました。デビッドボウイが着たタイプのスーツ、迫力ありますね。
 
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何年か前に赤坂見附で開催されたルイ・ヴィトンの展示造りこみが凄かったので、それと比べたら簡素に見えましたが、作品の量がなかなかありましたね。
  

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あやしい絵展/MOMATコレクション/美術館の春まつり/幻視するレンズ

あやしい絵展
https://www.momat.go.jp/am/exhibition/ayashii/
東京国立近代美術館
2021/3/23-5/16
 
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退廃的、妖艶、グロテスク、エロティックと言った表現の絵などを集めた展覧会です。明治期に西洋化で変わっていった日本の美術作品が中心になっているので、ストレートにグロテスクやエロティックな絵と言うよりは、少し陰のある美人や退廃的な世界観などの絵がありました。
 
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展覧会は幕末の蕭白、国芳、芳年、暁斎から始まり、明治大正へ続きます。展覧会を通して解説役になっているのがこの稲垣仲静が描いた「猫」。途中にあった都都逸もこの猫
 
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明治以降では藤島武ニの絵などの横に、そこに影響を与えただろうロセッティやバーン=ジョーンズ、ミュシャなどの絵が。
 
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小説の挿絵なども西洋の影響で花開いたものになるのでしょうか。谷崎潤一郎の本の挿絵やピアズリーの挿絵のつながりを見て取れます。
 
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清姫の話もあやしい魅力のある女性を描く理由になるのでしょうね。山種美術館の小林古径の清姫なども。そしてこの時代ならではの絵として橘小夢の幻想的な絵が数点ありました。
 
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甲斐庄楠音の絵がある1コーナー、美人なのですが、何か違う。まるで狂気の様なこの雰囲気は一体何なのでしょうか?
 
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広告ポスターもこの時期とても魅力的なものが出ています。このポスターはあやしいというより美人ですね。はい、好みです。
 
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岡本神草の中央にある枠、これ展覧会に出すために先に完成した部分をトリミングした跡なのですね。秦テルヲはもう異世界の様に見えます。写真撮影は不可でしたが鏑木清方の良い作品が出ていましたね。
 
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デザイン系の作品も面白い。喫茶店広告の図案集、マッチラベル、雑誌の挿絵や表紙など明治大正の香りたっぷりです。
 
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そして今年展覧会が続いている小村雪岱もありました。
 
 
 
MOMATコレクション
https://www.momat.go.jp/am/exhibition/permanent20210323/
東京国立近代美術館
2021/3/23-5/16
 
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榎倉康二「二つのしみ」は全く同じ形をしたシルクスクリーンのシミ。
 
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新版画の笠松紫浪や川瀬巴水も今年注目されていますね。
 
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大岩オスカール、畠山直哉などの現代美術も揃っています。
 
 
 
美術館の春まつり
https://www.momat.go.jp/am/exhibition/springfest2021/
東京国立近代美術館
2021/3/23-5/16
 
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コレクション展の中で春らしさのある作品を取り上げた展開。跡見玉枝、児玉靖枝など。
 
 
 
幻視するレンズ コレクションによる小企画
https://www.momat.go.jp/am/exhibition/hallucinatinglenses2021/#section1-2
東京国立近代美術館
2021/3/23-5/16
 
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深瀬昌久「鴉」が目を引きました。
 

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マーク・マンダース—マーク・マンダースの不在

マーク・マンダース—マーク・マンダースの不在
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mark-manders/
東京都現代美術館
2021/3/20-6/20
 
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想像はしていたけどマンダース展良かった。今年は現代アートの展覧会が良いのが多い!ライゾマを見に来て、マンダースに興味を持った人も多かったのではないでしょうか?
 
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願わくば、人の少ない時に静かにマンダース展を見たい。私が行ったときは混雑と言うほどではないにしろ、そこそこ人が居たので。人が少ない時に独り占め展示したらすごく良いだろうなぁ。どこかの遺跡に迷い込んだような景色。
 
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この半身像を2015年にギャラリー小柳で見て衝撃を受けたのを覚えています。この方の作品、一見粘土や泥、もしくは素焼きの像のように見えますが、実はブロンズなのですよね。ブロンズなのに敢えて手で練った跡を残しているのです。
 
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ビニールで囲われているのも架空の作家がアトリエで製作途中だという様子を表現しているのでしょうか。作品自体は遺跡の中で朽ちている像のようにも見えますね。
 
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「建築としての自画像」と言うのがマンダースの展示のアイデア。架空の芸術家の自画像を建物の枠組みを通して探求、という正直よくわからないコンセプト。マンダースと言う架空の芸術家のアトリエ制作風景をこのMOTの建築の中で見せていくということでしょうか。
 
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あちこちに細かい仕掛けの様な展示があるのも楽しい。これなんだろう?と考えるのだけど、決して答えが用意されているわけでも無い。勝手に想像させるよな展示。
 
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既製品の中にも粘土が詰まっている……様に見えるけどブロンズなんですよね、これ。あちこちに仕掛けがあるように見えます。元の物から88%小さくするという仕掛けも、サイズが違う違和感がわかるわからないの境目の縮小のもの。既製品を並べることによって描かれた間取り図なども意味がありそうですよね。
 
そして一つ下のフロアにある作品。知らずに中に入って、その後に解説読んだ時に「うわっ」と言ってしまった。何とも言えない後味の悪さ。でも、それがどこにあるのか踏みしめて探してしまう残酷さ。
 
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カフェのマンダース展コラボパフェ。へぇ、マンダース味ってゴマ味の事なんだ、笑。
 





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ライゾマティクス_マルティプレックス/Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展 風間サチコ、下道基行/MOTコレクション コレクションを巻き戻す

ライゾマティクス_マルティプレックス
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/rhizomatiks/
東京都現代美術館
2021/3/20-6/20
 
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ライゾマティクスの展覧会ということで結構期待していたのですが、もちろん良い展覧会だったのですが、同時開催のマンダース展にもっていかれましたね。ライゾマ見に来て、マンダースに興味を持った人も多かったのではないでしょうか?
 
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以前、ICCでやったPerfume関連中心のライゾマ展の方が面白かったです。初めの部屋にあった年表的なところとかいろいろな技術を使っているのかな、と思いつつ見てましたが。
 
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四角い箱が動く展示、ここは面白いと思いました。初めに見る映像では動く四角い箱に合わせてダンサーが踊っている。そこに絡む映像。その背景は次の展示室で見ているお客様が映っています。
 
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ところが次の部屋に行くとダンサーはいません。動く箱とそこに投影される映像だけがあります。正式にはそこに加えて先ほどの部屋で見た映像を撮影する黒いカメラロボットもいます。先ほどの部屋に戻ってみるとたしかに踊るダンサーが居て、その背後に次の部屋で見ている観客も映っています。
 
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そう、これ、以前撮影したダンサーのいる映像と実際の展示室の映像の合成なのですね。プログラムされた箱の動きに併せて踊るダンサー、そのプログラムを忠実に再現する箱の動きと映像の投影、撮影するカメラロボットの動き。これらをコントロールする技術を見せている展示なのです。
 
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コントロールする技術と言えば最後の方にあった暗闇の中のボールサーカス。転がるボールの信号に合わせてそのボールにレーザーを照射。それによりまるで光るボールが転がっているように見えます。
 
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他にも展示の電源をつくる太陽光発電ロボット、レーザービームの道具、ドローンなどの小道具がありました。参加体験デバイス付きのチケットは買えなかったのでそちらの体験は出来ずでした。
 
 
 
Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展 風間サチコ、下道基行
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/TCAA_2019_2021/
東京都現代美術館
2021/3/20-6/20
 
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風間サチコ、下道基行という二人の作品を紹介する展覧会です。Tokyo Contemporary Art Awardの受賞発表展。なんと無料で見ることができる展示です。
 
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下道基行さん、フィールドワークを中心にして展開していく作品が多いそうです。津波石の写真はアーティゾンで見た『Cosmo-Eggs』に出ていましたね。
 
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ガラスや石、加えてその土地の歴史や物語などが繋がっていく作品でした。
 
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そして風間サチコさん、この人の作品はとても好きなんです。一度見たら忘れられないこの作風です。
 
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こんなにたくさん見ちゃったらどうしよう!ってくらい印象深いものばかり。今までに見たものも幾つかありましたが、何度見ても衝撃を受けますね。
 
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木版画という技術を、木版画らしく作品で展開しています。この表現の粗さと力強さを演出としても使っているようにも思えます。
 
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後半にあった大型作品はさすがに見ごたえあり。この方の作品を見ていると世界の終わりを想像してしまいますよね。
 
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木版画の粗さを全体として感じさせながらも、実は細かい表がんが凄いです。そして、ああ、見た事ある場所ですよね、なところも良いですよね。
 
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最後の部屋は風間サチコさん、下道基行さん二人の初期作品展示。家と言う共通モチーフがありました。
 
 
 
MOTコレクション コレクションを巻き戻す
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot-collection-210320/
東京都現代美術館
2021/3/20-6/20
 
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MOTコレクション、前回見たものと一部同じですね。
 
 
 
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ここは展示数が多いからカフェ(サンドイッチの方)での休憩は必須ですね。都の施設と言うことで入札とかで運営変わってしまうこともあるのかなぁ。
 

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神宮の杜芸術祝祭 彫刻展「気韻生動―平櫛田中と伝統を未来へ継ぐものたち」

神宮の杜芸術祝祭 彫刻展「気韻生動―平櫛田中と伝統を未来へ継ぐものたち」
https://jingu-artfest.jp/kiinseido/
明治神宮宝物殿
2021/3/25-5/30
 
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2020年から開催されている明治神宮鎮座百年記念事業「神宮の杜芸術祝祭」。その中のコンテンツのうち3つの美術展が予定されていましたが、その最後の一つが「気韻生動」。この情勢もあり会期変更も出ていましたがようやく開催されました。今回の会場は去年まで修復工事をしていた明治神宮宝物殿(中倉)です。
 
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この展覧会のテーマは彫刻。明治から昭和にかけて活動した彫刻家 平櫛田中の作品と、現代作家の作品が並ぶものになっています。
  
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土屋仁応の鹿は神の使いとしての存在を示している様です。土屋公雄の石とガラスの点在する様は石庭のようにも見えます。
 
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宮島達男のデジタルカウンター、名和晃平の金の造形など現代ならではの作品もありました。
 
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seccaの木片を使った狛犬、この前に横浜美術館の展覧会もあった澄川喜一、コーネル作品につながっていく深井隆の作品。
 
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舟越桂、そして棚田康司の作品は共にこの様な力ある建物にも負けず、不思議と似合うのですよね。そこにふさわしい存在感。
 
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小林正人と原良介は絵画作品になりますが、ここにあっておかしくないその違和感のなさ。小林正人の絵画の裏にあったスコップの様な道具の意味は?
 
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保井智貴の犬は乾漆という手法によるもので阿修羅像と同じくとても軽い。そして最後に何もないようにも見えるケース、両脇に何やらキャプションがありますね。
 
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向かって左のキャプションの裏に須田悦弘の雑草がありました。右の方には三沢厚彦のセミ。須田さんは須田さんらしいです。三沢さんは大きくひょうきんな生き物の作品をみることが多いのですが、こういう小さな、それもリアルな作品は初めて見ました。
 
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コロナ禍で会期も変更となったりしていましたが、この建物でこれらの作品を見ることが出来て良かったです。

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テート美術館所蔵 コンスタブル展/岩森咲季個展「テツノホシ」

テート美術館所蔵 コンスタブル展
https://mimt.jp/constable/
三菱一号館美術館
2021/2/20-5/30
 
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日本ではイギリスの風景画家と言うとターナーが圧倒的に有名ですが、そのターナーと並びこのコンスタブルもイギリスではとても有名な画家なのです。
 
当時、格上として見られていた歴史画などに比べて、評価が低かった風景画。コンスタブルとターナーは同時代に活躍し、風景画の評価を上げ、そしてライバルとして活躍しました。その二人の対決シーンが今回の展覧会で再現されているのも注目ポイント。
 
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コンスタブルの描く風景画はとてもリアルです。自然を観察し、戸外での制作、数多くの風景や雲のスケッチなどによる描写がとても素晴らしい。展覧会の途中にあった雲の習作やそれらを元にしただろう各風景画、それらの風景画に描かれている空や雲たちの見事さ。常に姿を変えていく雲の姿を切り取って絵の上に再現する技術の高さや観察眼の鋭さが素晴らしいです。
 
さて、同じ風景画家で同時代の天才ターナーの絵も少し出ています。それを見るとコンスタブルとは違うタイプの画家であり、その天才性にも思わず注目してしまいます。そのターナーとコンスタブルの絵が横並びで並ぶある再現展示が今回の展覧会の見どころの一つ。
 
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1832年のロイヤル・アカデミー展でコンスタブル《ウォータールー橋の開通式(ホワイトホールの階段、1817年6月18日)》とターナーの《ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号》が並んで展示されました 。珍しく色彩の多いコンスタブルの絵の横に色味が少ない自分の絵があるのを見て、ターナーは「ヴァーニシング・デー[最終仕上げの日]」と呼ばれる手直しの日、自分の絵の海の上に指で赤い絵の具を乗せていきます。最終的にはその赤い絵の具を海に浮かんだブイとして仕上げたのです。
 
現在では少し赤は色あせてしまったのかそこまで目立たない感じもあるのですが、ターナーのその絵が地味な色合いの絵だけにそこに視線が集まる効果があったのではないかと思います。天才ならではのヒラメキですね。ただ、この時のコンスタブルの絵もロイヤルアカデミー受けを意識したのか、コンスタブルらしさがうまく出ていない絵だった気もします。
 
タイプの違う二人の絵の見比べも出来て、そしてコンスタブルをここまでまとめて見ることができる展覧会は今後もそう開かれないのではないかと思います。貴重な展覧会でした。
 
 
 
岩森咲季個展「テツノホシ」
https://mimt.jp/blog/museum/?p=7570
三菱一号館 歴史資料室
2021/3/16-4/11
  
アートアワードトーキョー丸の内2020の三菱地所章を取った岩森さんの展示です。鉄の彫刻が一号館歴史資料館の重厚な部屋の中の住民の様で、部屋に入ってくる我々を見ている様でした。
 
 

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初田徹“Ground”

初田徹“Ground”
https://min-gallery.jp/exhibition/550/
MIN jewelry & crafts
4/8-11、4/15-18 12:00-19:00
 
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竹工家 初田徹個展に行ってきました。以前も学芸大駅のこの場所で個展を開催されていました。素敵なギャラリー内に並ぶクラフト品のカッコいいこと!週の後半、木金土日のみのオープンで2週に渡って開催です。今週、後半会期がスタートです。
 
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展示タイトルのところにある籠が面白い。編みかけの様な感じでピョンピョン飛び出るている竹。底も丸くなっているので縦に置くことは出来ないようです。このようなデザインの籠、使う人のセンスが試されそう。
 
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展示されている花籠籠、花入などに活けてあるある植物。初田さんの選ぶ花たち。季節を感じる事が出来るような見せ方。日本の工芸モノって季節と共にあるんだよな、と改めて感じました。まぁ、ずっと、季節を感じるものを探してそこに入れておくのはなかな難しいですけどね。どこかの庭から勝手に持ってくるわけにはいかないし。
 
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先が片割れになっている花入れなども。去年、うちも花入れを1つ購入したのですが、家に花を飾ると、普段意識していなかった壁や空間が、初めて発見したモノのように見えてきます。今まであったものに花入れと花が加わっただけなのに、別の空間の様に見えてきます。飾る花探しに困って、花を挿していない時もありますが、それでもカッコいいから、それなりに見えます。
 
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他に茶道具関連もあります。今回初めて見た持ち手がやたらと細い茶杓。これらは中国茶で使うとか。広い方は茶さじ代わりの半割の竹筒などから葉を掻き出すことに、細い方はお茶のあくをこそぎ取ったり口詰まり時に使うもののようです。普通に茶道の茶杓としても機能としては(使い勝手はわかりませんが)使えるものなので、茶杓のデザインとして新しく面白く見えてしまいます。
 
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そしてその影響か、日本茶用の茶杓も細くなってる?!茶杓は(例外はあるものの)節の部分を重心にすることが多いようです。棗等の上に置くときの目安にしたりするための様ですね。その様なつくる時のルールの中で、もしくは敢えて一部ルールを破ってデザインを決めていくようですが、中国茶の茶杓の様にルールに乗っ取らなくて良いものの存在は、デザインを考える上での良い刺激になるのでしょうか。お馴染みの菓子切りもあります。写真のものは金箔を一度貼り、もったいない!ってくらい削ってうっすら残った金の風合いを楽しむ「夕星」の菓子切りです。
 
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他に大きめの籠や茶道具関連もあります。竹のクラフトはお茶関連のものが多いのかと思います。このコロナ禍で家で茶道を試す人なども居るのではないでしょうか?私は茶道はやっていませんが、花入れ、箸、菓子切り(和菓子だけでなくケーキを食べる時などにも使っています)などは家に置いています。家にいる時間が増えて、身の回りにあるものを気に入ったものにしていきたい時に、作家さんの顔が見えるクラフト品などは丁度良いですね。
 
焼き洋菓子・ケーキ MATTERHORN マッターホーン
https://matterhorn-tokyo.com/
 
※注、駅からこちらのギャラリーに行く途中にある有名なお菓子屋さん「マッターホーン」は喫茶室17時まで(16時30分ラストオーダー)、ショップは18時30分まで。混雑時は店内への人数制限などもありそうです。時間に余裕をもって行くのがおすすめです。鈴木信太郎画伯の包装紙でも有名なのですよね、こちらのお店。(私は帰る時に寄って行こうと思ったらもう閉まってた……)。

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佐藤可士和展

佐藤可士和展
https://www.nact.jp/exhibition_special/2020/kashiwasato2020/
国立新美術館
2021/2/3-5/10
 
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みんなのまわりに佐藤可士和、私のまわりにも佐藤可士和、どこにでも佐藤可士和、と言うようなことに気づかされる展覧会です。凄いあちこちでお仕事されていますね。クリエイティブディレクター佐藤可士和の手掛けた仕事たち展。
 
展示室の外には鏡面塗装の特別仕様車。あと、出口にユニクロTシャツのお店が出来ています。美術館にユニクロのお店!専用の箱で可士和さんデザインのTシャツを買うことができます。
 
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SMAP関連のお仕事、そういえば見ましたよね。街のあちこちで。あの頃は街にCDを買いに行った時代でした。オンラインで購入でもなく、データ配信でもなく。ロフトやパルコ、キリンの極生などの広告のお仕事も。
 
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ツタヤ、ミスチル、FOMA携帯、ユニクロなどが並びます。完成品の展示が主なので、可士和さんがどう言う発想でそれらを生み出したとか、経緯とか、役割とか、難しかったところとか、そういうのが詳しくわかるような展示だとより良かったなぁ。
 
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そして話題の巨大ロゴ部屋。迫力あります。自撮りするが大勢です。企業ロゴの前で自撮りして、SNSに上げる文化が来るとは、いつの時代なら想像ができるのか?!また、これらの巨大ロゴはその素材がその会社につながるものでつくられています。タオル会社はタオル生地で巨大ロゴが創られている、とか。
 
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設計図が面白い。方眼紙のマス目を埋めるように構成されたロゴ。そう、この国立新美術館のロゴも可士和さんなのです。可士和さんのつくるロゴはカッコいいというよりも、わかりやすい。誰が見てもわかる、覚えやすいなどの特徴がありますね。
 
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楽天パンダは展覧会オリジナル。若いときのグラフィック作品なども面白い。他にも小さいころに描いた絵など、今を彷彿させるようなものも展示してあります。よく昔の絵とか残っていますね。ウチにはそんなの残っていないですけどね。まぁ、絵描きでもデザイナーでもない私の展覧会が開かれることはないですが。
 
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セブンイレブンや日清などの企業のコーナー。セブンのこの品数のデザインは凄いですね。可士和事務所のデザイン系の番頭さんは大変だったでしょうね。
 
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他にもくら寿司、今治タオル、ふじようちえんなどのお仕事。ここからはパネル展示中心で、なんかプレゼン資料見ている感じ。ふじようちえんは手塚夫婦の設計が凄いのもありますが、可士和さんはコンセプトやブランディング的な面で関わっています。どこまで、どの程度関わって、何をしたかもう少し具体的なのがしりたいですね。映像見れば解説あったのかな。
 
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なんか、デジタル技術使った新しい展示もやったりもしてます。あと、今話題の東北新社のパネルもありましたが、まだ残っていますかね。そして、アートですよ、アート。なんで人は有名になるとアートをやりたくなるのですかね?デザインとかディレクションとか企画とかで十分有名だし、儲けていると思うのですが。アートとかに手を出さなければいいのに……と。
 

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澤田知子 狐の嫁いり

澤田知子 狐の嫁いり
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3848.html
東京都写真美術館
2021/3/2-5/9
 
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証明写真を使った作品で有名な澤田知子の個展です。あの作品、卒業制作だったのですね。あのアイデアはすごいですが、それだけで続けられるわけではないだろうし、どうやっていくのかな、と思っていたら、すいません見くびっていました、あのアイデアを更に広げてはいながらも、アイデアを一本通してやっておられました。凄いです。
 
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アイデンティティとは?自分とは?……と深読みする作品ですが、その上でそうする人を翻弄したりするような点もあります。その上で澤田さん自身はまじめに個性というものを考えていたりするもの。
 
あと、1日に3回澤田さんが好きな曲達が流れる時があります。シャッター音やお喋りが気にならない時間。展覧会は静かと言うアイデンティティへのアプローチでしょうか。私が行ったときに丁度音楽タイムでした。気にならないと言うか、音楽がかかっている方が好みです、私。
 
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いろいろな人になりながら多様な個性を見せてるかと思えば、メイクの楽しさなど自分と言う軸をその中に見つけたりして、他人になることで自分を見つめ様としてる様にも見えます。結局はそこにある自分性を映しているのか。作品タイトルが床にあるのもいいですね。
 
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眼鏡、後ろ姿、化粧など様々な展開を見せてくれます。ワンアイデアがここまで広がるとは思っていませんでした。面白い展示です。そして私は眼鏡をかけてそれが似合っていれば好きなんだ、と言うことに改めて気づきました。ええ、澤田さんの眼鏡姿結構好きです。
 
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ケチャップとマスタードの作品も有名で、多面性はありながらも、これは違うタイプのものだと頭の中で勝手に思っていました。ただ、改めて見ると、これ国の言葉=国民性(民族性)などを表現しているのですね。これも国としての個性や色合いになっていくと思うと本当に一本筋の通った作品を作る方だな、と思いました。
 
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外にあった新作の映像は個性を完全に消して影として表現。そこにどこまで個性が出るかどうかというものですね。余談ですが、イスが面白かった(展覧会とは関係なくいつもあるもの?)。丸椅子二つに穴の開いた板をかぶせてベンチにしてますね。
 
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証明写真で有名になり、このアイデアでどこまで……?と思ったら、ちゃんとスタイルを残しながら広げています。そして最後の作品。このタイトルにもかけた作品。これ初期作品なのですね。これも自己と言うものにかかって来るものでしょうか。
 
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この恵比寿ガーデンプレイス、三越が閉店しましたね。スーパーが入る様ですが、いろいろと景色も変わっていきます。
 

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