電線絵画展-小林清親から山口晃まで-
電線絵画展-小林清親から山口晃まで-
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=202012111607684505
練馬区立美術館
2021/2/28-4/18
とても面白い企画の展覧会です。電柱、電信柱や電線をテーマの展覧会、と言うと美術展の様には聞こえませんんがそれがなかなか……素晴らしい作品と切り口で面白い展覧会になっているのです。
明治の文明開花を描いた新版画などには電信の開通した様子や電灯が点った様子が多く描かれています。小林清親、川瀬巴水、吉田博など今年に展覧会があちこちで開催されている新版画の面々を見比べる事ができます。吉田博は景色に電柱を描かなかったが川瀬巴水は描いているとか、そういう目で見たことは無かったです!
近代洋画家の面々も絵画のポイントとして電柱を意識していたようで、岸田劉生などは絵のアクセントとして描いているのですね。その他、河鍋暁斎、小絲源太郎、坂本繁ニ郎、高橋由一など幅広い画家達が描いた電信柱や電柱や電線の絵が並びます。電柱、電信柱の違いや部位などの名前解説もありました。
ここら辺までは都市の近代化や文明開化の象徴としての電柱や電信柱の役割となっていますが、電線を狂気の域に持っていった絵がありました。ミスター電線風景、朝井閑右衛門のヤバさ!電線を描くために命を削っているのではないかと思うくらい、本当に狂気の絵です。
あと、圧巻なのは藤巻義夫「隅田川両岸画巻」。川岸の超パノラマ絵。これを見るのに何往復もしてしまいます。以前、東京都現代美術館で見ていますが、何度見ても素晴らしい。
碍子の展示もありました。碍子が茶器の様に並んでいます。まさか、電線の展覧会に来て香蘭社とかノリタケの名前を見るとは思っても見ませんでしたよ。一流の磁器メーカーが製作していたのですね。
現代アートもあります。空に電線描いただけなのになんでこんなに良いの?!な阪本トクロウ、電柱マニア?!な山口晃、この細かな感じが好き!な久野彩子、これ墨で描いてるの凄い!な山口英紀など満足な展開。見応えありで、現代アートファン必見です。
展覧会を見終わった、駅へ向かう帰り道に上を見上げてみましょう。きっと電線の見方が変わります。
| 固定リンク
コメント