複製芸術家 小村雪岱 ~装幀と挿絵に見る二つの精華~
複製芸術家 小村雪岱 ~装幀と挿絵に見る二つの精華~
https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/hibiya/museum/exhibition/komurasettai.html
日比谷図書文化館
2021/1/22-3/23
小村雪岱は大正、昭和期に本の挿絵や装幀で有名になった人です。泉鏡花の本の装丁でデビュー、その後、資生堂の意匠部などでも活躍します。とても沢山の資料があって見応えありました。
泉鏡花『日本橋』の装幀でデビューをした小村雪岱。鏑木清方や鰭崎英朋がそれまでに手掛けていた泉鏡花の装丁でデビューとは凄い。日本橋の見開きを使った俯瞰、愛染集の奥行パースの魅力などアイデアが素晴らしい。
日本橋のあとの泉鏡花のほぼすべての装幀を任されたというのですから、その期待感がわかります。それだけのアイデアやデザインのパターンを生み出すのも大変だったでしょう。
泉鏡花以外にも、その仲間たちである他の作家の装幀も手掛けていますが、鏑木清方『銀砂子』の蟹は私は一番好きでした。水上瀧太郎『月光集』は斜めから見るとキラキラしてる!自分の画集はもう絵ですね。本当に画家としてもデザイナーとしても揃ったバランスと素晴らしいアイデアを兼ね揃えています。
新聞の挿絵とか雪岱調の書体デザインも素晴らしい!多くの人の目に触れる新聞の仕事などは挿絵画家にとって花形の仕事だったらしいですね。
挿絵から繋がり、大衆小説の装幀も手掛けますが、色のバランス、これをデザイン要素として持ってくるか!など驚きばかり。人気の出るのがわかります。デザインのプロですね。
とにかく素晴らしいブックデザインの数々。モダンなデザインの数々。デザインに関わる人、本に関わる人みんな見に行って欲しい!一つ一つをじっくり見て欲しい。
資生堂での仕事などもとても良い。資生堂に和風のデザインを持ち込んだ雪岱ですが、良い意味で洋風デザインの影響を受けてもいるようです。ほんとうにたまらないデザインたち。
同時期に三井記念美術館でも小村雪岱の展示が開催。合わせてみるべき展覧会です。とにかく現物を一度じっくり見るべきです!な展示でした。
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