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「夢の西洋美術史500年」講座 第3回目:ロココ(小林亜起子先生)

「夢の西洋美術史500年」講座 第3回目(9月7日開催)に参加してきました。これは講談社のウェブメディア「クーリエ・ジャポン」と三菱一号館美術館にて開催されている講座です。
 
特別講座「夢の西洋美術史500年」
https://courrier.jp/info/163381/?ate_cookie=1568006805
3×3 Lab Future
 
西洋美術史を5人の講師による全5回の集中講座で学ぼうというもの。そしてこの講座のコーディネートとして参加され、全5回の司会をつとめているのがアートブログ青い日記帳のTakさんです。
 
青い日記帳:特別講座「夢の西洋美術史500年」
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5503
 
講座の内容としては、1回目は加藤磨珠枝先生が「中世美術」、2回目は宮下規久朗先生が「バロック」をテーマにしてお話をされました。そして今回3回目のテーマは小林亜起子先生による「ロココ」。ちなみにこの後、4回目は井口俊先生による「新古典・ロマン主義~マネ」、5回目は岩瀬慧学芸員の「印象派~マティス」と続き、最後に三菱一号館美術館の内覧会に参加できるというもの。
 
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残念ながら既に定員いっぱいのため、今回の講座は締め切りとなっていますが、人気の為、続く企画も検討されてるとか。楽しみですね。
 
こちらで第1回の様子を見ることが出来ます。

【セミナーレポート】夢の西洋美術史500年/第1回:中世編
https://rakukatsu.jp/yume-no-seiyou-bijyutsushi-1-20190829/
 
さて、簡単に第3回講座(テーマ:ロココ)の様子を小林先生のお話を元にレポートします。お話は3部構成になっていました。
 
1.ロココ誕生を巡る時代背景
2.ロココ美術について
3.夢のロココ - アントワーヌ・ヴァトーの絵画をめぐって
 
 
【1.ロココ誕生を巡る時代背景 】
 
まずはその時代背景から。「ロココ」はフランスで花開いた文化。フランス国王 ルイ14世の時代は「バロック」でしたが、その後の摂政時代+ルイ15世の時代が「ロココ」の時代となります。広くは18世紀がロココの時代と捉えられるようです。
 
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オーストリア シュリーアバッハ 修道院(ロココ建築)
Wikipedia「ロココ建築」より
 
今までに日本でもマリーアントワネット展、エルミタージュ展、ルーヴル展などでロココ時代の絵画を見ることが出来たようですね。また、三菱一号館美術館で開催された「ヴィジェ・ルブラン」展 、「シャルダン」展などはロココ時代の画家だそうです。
 
少しさかのぼってルネサンスの時代。イタリア攻略時にその美術に見せられたフランス国王 フランソワ1世が優れた画家をフランスに招聘し、フランスにもルネサンスが広がります。その後のバロックの時代。17世紀フランスの国王 ルイ14世は自らを太陽神に重ね、その力を示すためにヴェルサイユ宮殿を作ります。自らの権力を絵画芸術で民に示したわけです。国王を頂点とした芸術の時代ですね。
 
そのルイ14世亡き後、14世の甥の摂政(オルレアン公)の時代とルイ15世の時代、政治の中心部をヴェルサイユ宮殿からパリへ移します。今までの絶対的な太陽王の時代から開放され、文化の中心もパリへと移り、銀行や資産家など財力のある人たちがパリに屋敷を構え、芸術家達のパトロンとなります。建築、装飾、工芸などが華やかなものとなり、室内装飾としての絵画の需要も生まれます。
 
 
【2.ロココ美術について】
 
装飾的なロココ様式の建築や工芸などと一体となった美術がロココ美術。貝殻や植物などの有機的な模様が滑るように描かれています。左右非対称でとても滑らかな線を描く絵。
 
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「ぶらんこ」(1768頃、フラゴナール作)
Wikipedia「ロココ」より
 
左右対称で、もっと堅固で、重みのある今までの古典主義やバロックの様式から開放されたような文化。明るく楽しげな絵画は資本家達が個人の好みで買って楽しむというこの時代に合うようなものとして生まれたということでした。
 
特徴や立場が19世紀のアール・ヌーヴォーと繋がるような文化ですね。
 
 
【3.夢のロココ - アントワーヌ・ヴァトーの絵画をめぐって】
 
小林先生はロココの代表的な画家としてヴァトー、ブーシェ、フラゴナールの3人を挙げていました。その中でもヴァトーの描いた『シテール島への巡礼』についてを最後に掘り下げています。
 
華やかな「ロココ」絵画の中ではヴァトーは繊細な画家で少し憂いのある絵を描いています。 また、ヴァトーの絵に出てくるドレスのヒダをモチーフに「ヴァトープリーツ」と言うファッション用語が生まれたそうです。
 
さて、当時の王立彫刻絵画アカデミーには絵画の種類によってヒエラルキーがあったようです。ヒエラルキーが高い順に
 
歴史・物語画(神話・宗教など)
肖像画
風俗画
風景画
静物画
 
観たままをそのまま描く静物画が一番下で、テキストを読んだり、建築の知識や歴史の知識が無いと書けない歴史や物語の絵が一番上となります。
 
その中でヴァトーは歴史・物語画家になろうとしたが、一位になれず二位だったのですが、特例で審査をすることになり、描いた作品が『シテール島への巡礼』。
 
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アントワーヌ・ヴァトー「シテ島への巡礼(Pilgrimage to Cythera )」
Wikipedia「ロココ」より
 
アカデミーはこの作品をどう扱うか迷ったそうです。この作品の絵に登場する人物は当時のファッションをし、リアルな絵なのに、描かれているモチーフが歴史や神話的な要素もあり、風景画としても成り立つような絵である。
 
この絵をロダンが読み解いたところによると、描かれている人物を向かって右から左に見ていくと男女の愛の成り立ちが描かれている言うことです。物語性までそなえているのですね。困ったアカデミーはヴァトーのために「雅宴画」という新しいジャンルを作ったそうです。
 
最後にロココ絵画を日本で見ることが出来るところと言うと、ヤマザキ・マザック美術館のコレクション作品のなかヴァトーを含むロココ絵画が幾つかあるようです。また富士美術館の次回の展覧会『ルネ・ユイグのまなざし フランス絵画の精華 ー大様式の形成と変容』のチラシの1面がヴァトーの作品となっているそうです。
 
ヤマザキ・マザック美術館
http://www.mazak-art.com/
 
ルネ・ユイグのまなざし フランス絵画の精華 ー大様式の形成と変容
https://www.fujibi.or.jp/exhibitions/profile-of-exhibitions/?exhibit_id=1201910051
富士美術館 10/5-2020/1/19
 
 
さて、ここまでが今回の講座をざっくり聞いたところです。
 
私の様に建築・デザイン系好きとしてはロココと言うとまず、建築や工芸としてのロココ様式が思い浮かべます。建築と一体となった装飾、装飾としての絵画、工芸とのつながりなどの話はとても興味深いものでした。
 
さらに有機的な模様などの特徴があるなどの点もふまえると、小林先生の話にもあったようにまさに後世のアールヌーヴォーと似ていると思いました。直線的な力強い文化と曲線の優雅な文化が交互に来るところなども時代は繰り返されるのだと改めて考えてしまうものでした。
 
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猫足の椅子
Wikipedia「猫足」より
 
デザイン的にはロココの工芸と言うと家具のネコ足などもロココの特徴の一つ。あとは「陶磁器」への影響がとても有名です。この様式はドイツのマイセンやデンマークのロイヤルコペンハーゲンなどにも影響を与えています。
 
そして、後の19世紀初期にロココリバイバルが興ります。個人的にはそのリバイバルブームがアールヌーヴォーに繋がったのではないかと思います。今回の講座は絵画や美術史だけでなく建築やデザインなども俯瞰して見ることが出来る良い機会でした。
 
 
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失われたアートの謎を解く (ちくま新書)
 
また、この講座の全司会を務める青い日記帳Takさんが新しく出した本『失われたアートの謎を解く (ちくま新書)』が会場で発売されていました。会場ではTakさんに本にサインを書いてもらう人たちが沢山並んでいました。
 
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私も前の日に買ったこの本にちゃっかりとサインを頂きました。出来たばかりの「青い日記帳」スタンプ付き!

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