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シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート/ポーラ美術館 コレクション名作選/半澤友美「The Histories of the Self」展

夏休みに箱根に行ってきました。温泉と美術館。ポーラー美術館には去年も夏に来ているのですが、今年は実施されている展覧会、これを見に行きたくてそれで旅行先を箱根にしたようなものでした。
 
シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート
https://www.polamuseum.or.jp/sp/syncopation/
ポーラ美術館
8/10-12/1
 
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とても良い展覧会でした。ポーラ美術館が持つコレクションと現代アートを見比べることが出来るような構成の展覧会です。現代アートに焦点を当てた企画展はポーラ美術館初だ言うのは意外でした。
 
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入口にあったモネの作品に呼応していたセレスト・ブルシエ=ムジュノの現代アート作品が素晴らしく良かったです(これのみ撮影NGでした)。作られた池の中に流れる水流。その上に幾つも浮かぶ陶器がそれぞれぶつかり合って音を立てます。それがまるでガムランの音楽や教会で鳴る鐘の音の様に鳴り響くのがとても気持ちよいです。水流は人工的な操作だとしても、陶器がぶつかり合って立てる音は偶発的なもの。それが宗教的な音楽の様に聞こえるとは、そういう音楽は自然の法則に則って奏でられて居るのでしょうか?この音を聞きながらいつまでもこのスペースに留まって聞いていたかったです。
 
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もう一つ、屋外の作品ですがスーザン・フィリップスの作品が良かった。屋外の遊歩道を歩いていると奥のほうから笛の音が聞こえてきます。楽曲のフルートの旋律を断片的に11個のスピーカで流しているという作品。この日は雨でしたが、雨の音と鳥の声、沢を流れる水の音にフルートの旋律が混ざりとても良かったです。
 
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さて、この展覧会、タイトルが「シンコペーション」と言うことでも判るように音楽をイメージした展覧会になっています。展覧会入口にマティス「ジャズ」があることでもそれがわかります。昔の巨匠達の作品と現代アートの作品がジャズのセッションをするような展覧会とでも言うイメージの様です。決して「音」を使った作品集めたという訳ではなく、でも音がながれるようなイメージで構成されているのかもしれません。
 
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マグリットの描く不思議な世界と石塚 元太良が撮った現実なのに不思議な世界観を持つ写真。マネの絵画と並ぶティルマンスの写真。
 
シンコペーションという音楽用語、つまりリズムに変化をつける技法のことですが、巨匠の作品がメインだとしたら、現代アートを変化する拍としてリズムを楽しむような展覧会です。今まで何度かこの美術館に来ていますが、とにかく巨匠の名作品が多い。ただ、ここに来る人の多くは美術にそこまで普段触れていない観光客。見ていると、ここまでものが多いと1点1点をじっくり見ない場合が多いのですよね。ただし、今回の展覧会では展示数が少ないこと、体感的な現代アートと並んでいるので巨匠作品の方も体感するようにじっくり見ること、などが重なって本当に一点一点じっくりと対話しながら見ている人が多いです。現代アートとの組み合わせの展示としてはとてもうまく相乗効果が上がっている例ではないでしょうか?
 
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横溝 静の映像作品の部屋にはモネやルノワール、ボナールなどがありました。ここの部屋も良かった。特にボナールの絵の存在感は目を引きますね。
 
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ダリの絵と対峙するのはアリシア・クワデの作品。鏡かとおもったらガラスの向こうに同じものを置いてあったり、自分が映ったり、向こうが見えたり、どれが本物でどれが虚構なのかがわからなくなってしまうような作品でした。
 
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アブデルカデル・バンシャンマが部屋中に描くことによりとても力のある空間が生まれていますが、それに負けていないのがクールベの絵でした。
 
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セザンヌ、ピカソ、藤田嗣治のそれぞれ癖のある絵には渡辺 豊が模写でもないパロディでもない、巨匠達のイメージの流用した絵を混ぜて展示しています。
 
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カンディダ・ヘーファーとプリンツ・ゴラムはロダンとセザンヌの構図と重なり、磯谷 博史とピカソはモチーフが重なっています。
 
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石塚 元太良の写真はこちらにも。セザンヌの構図と対峙しています。ゴールドラッシュ後の茶廃墟の写真がとても良かったです。
 
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オリヴァー・ビアが反響音を拾うのは東洋の古い陶磁器たちです。ポーラ美術館のコレクション作品をとてもうまく使っている展覧会だと思いました。
 
 
 
ポーラ美術館 コレクション名作選
https://www.polamuseum.or.jp/exhibition/20190810c01/
ポーラ美術館
8/10-12/1
 
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コレクション展示も企画展に連動するようにコレクション作品が呼び合うような展示になっていました。ドガの踊り子達と壷などの組み合わせ。
 
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ガレなどのガラス器と印象派の描く花などもポーラならではの組み合わせですよね。
 
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そういえば屋外にあったこの作品って誰のでしょう?この前、この館で展示をしたシムラBrosのようにも見えますが、さすがにまだここに屋外パブリック作品を置くには展覧会から間が立ってない気もしますが……。
 
 
 
半澤友美「The Histories of the Self」展
https://www.polamuseum.or.jp/exhibition/20190810ag01/
ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー
8/10-12/1
 
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若手の現代美術作家の紹介コーナーでは紙漉きの手法を使って独自の紙の世界を創り上げる半澤友美の作品でアトリウムを埋め尽くしていました。

 




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