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生誕125年記念 速水御舟

生誕125年記念 速水御舟
http://www.yamatane-museum.jp/
山種美術館 6/8-8/4
一部展示替えあり(前期: 6/8-7/7、後期: 7/9-8/4)
 
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※内覧会に参加してきました。
※掲載写真は特別に撮影の許可を頂いております。
 
待望の山種美術館「速水御舟」展です。速水御舟と言えば山種美術館、と言うくらいに所蔵作品も多く、なんとそのコレクション全120点を前期・後期に分けて全て公開するという展覧会。
 
40歳という若い年齢で無くなった御舟の10代の作品から晩年の作品までが展示されています。写生画や人物画のスケッチなど今まであまり見ることのなかった絵なども含まれ、この機会を逃すとなかなか見ることが出来ないものもあるかもしれませんね。
 
  
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速水御舟《名樹散椿》重要文化財 山種美術館所蔵
 
さて、速水御舟といえば有名なのがともに重要文化財になっている《名樹散椿》と、今回の展覧会ポスターにもなっている《炎舞》の2作品。この《名樹散椿》は前期展示(6/8-7/7)のみの公開ですが、この期間であればなんと《名樹散椿》と《炎舞》を二つ同時に見ることが出来ます。
 
《名樹散椿》の光沢を抑えた美しい地の金色は「撒きつぶし」という金の粉を一面に撒き散らす技法で塗られていて金箔の10倍もの量の金を使うそうです。
 
 
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速水御舟《富士(小下図)》 山種美術館所蔵
 
下図ではありますがこんな富士山の絵もありました。これは是非に近くで見て下さい。この色の滲ませ具合が凄くいいです。大正5年のまだ若き頃の御舟の絵。下図というのもあってか、とてものびのび描かれている気がします。
 
 
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速水御舟《炎舞》重要文化財 山種美術館所蔵
 
ところがそこから10年たたないうちに御舟は一つの様式美としての最高傑作を生み出します。それがこの《炎舞》です。精密に描かれた蛾と、妖しげな炎。そして何よりじっくり見て欲しいのがその背景にある闇です。本人が「もう一度描けといわれても、二度とは出せない色」と語ったという、ただの黒ではない深い闇。
 
 
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速水御舟《夜桜》 山種美術館所蔵
 
この《夜桜》は御舟の絵の中でも私がとても好きな絵の一つです。色があるかないかのギリギリのところ、それでも見ていると頭の中には桜のピンク色が浮かんでくる。ずっと見ていたい絵です。他にも、すぐ隣に展示されている《紅梅・白梅》も同様に最小限の色みで構成された素晴らしい絵でした。
 
 
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速水御舟《翠苔緑芝》 山種美術館所蔵
 
そして《夜桜》と同じ年に描かれたのがこの装飾的な《翠苔緑芝》。同じ人が描いたとは思えない振り幅。先に出た《名樹散椿》の前年に描かれたもので、ともに琳派に強い影響を受けた作品です。今回の展覧会ではこの《翠苔緑芝》が普段から撮影可能ですので、じっくりと紫陽花の花のヒビ割れた表現、黒猫の盛り上がるような毛並み、島ような緑などの技法を楽しむことが出来ます。
 
館長のトークではこの描き方はキュビズムに影響を受けているかもしれない、という話が出ていてびっくりしました。日本や中国の古典を意識しながらも海外の様式を取り入れる、まさに古い日本画を破壊しながらも新しい日本画を建設していく、そんな時代の画家です。
 
 
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速水御舟《裸婦(素描)》等 山種美術館所蔵
 
この後、御舟は渡欧し、エルグレコの作品に興味を持ち人物画のデッサンなどを勉強します。裸婦像やヨーロッパの都市を描いたスケッチなどが展示されています。
 
 
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速水御舟《暗香》 山種美術館所蔵
 
そして晩年、さらなる高みを目指した御舟の絵はとにかく素晴らしいの一言です。この絵のタイトル《暗香》。暗闇の香り、という目に見えないものを描くとこうなる、というもの。まさにこう言うことか!な絵だと思います。
 
 
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速水御舟《あけぼの・春の宵》 山種美術館所蔵
 
亡くなる前の年の作品です。琳派を超えて、現代的でもある様な日本画。御舟ならではの日本画を構築しています。この絵の横に水墨をベースに牡丹を描いた傑作《牡丹花(墨牡丹)》も展示されていますが、こちらも目を引きます。このレベルの作品を亡くなる前の同じ年に作成しているというのも凄いです。
 
 
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速水御舟《あけぼの・春の宵》のうち「あけぼの」一部拡大 山種美術館所蔵
 
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速水御舟《あけぼの・春の宵》のうち「春の宵」一部拡大 山種美術館所蔵
 
「あけぼの」の柳のラインの背景に浮かぶ美しいグラデーション、「春の宵」の薄い暗闇の中に舞う一枚一枚の桜の花弁の様はため息が出てしまいます。
 
 
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速水御舟《一本松(写生)》《三本松(写生)》 山種美術館所蔵
 
そして御舟は昭和10年に40歳で亡くなるのですが、その年に描いた写生画がこの松の絵。キュビズムの様にデフォルメされたこの形は、もし御舟が長生きしていたらどんな絵を描いていたのか、想像しても仕方ないとは思いつつも考えてしまいます。
 
 
さて、山種美術館の次の展示も楽しみです。山種美術館が実施する日本画の公募展「Seed 山種美術館 日本画アワード」の2回目が開催されます。
 
Seed 山種美術館 日本画アワード 2019
http://www.yamatane-museum.jp/exh/2019/seed2019.html
山種美術館 8/10-8/23
 
2016年に開催された1回目も見に行きましたが、力のある若手作家の作品たちはとにかく見ていて面白い。今回も期待です!
 

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