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松尾穂波個展「海の向こうをゆめみて」

松尾穂波個展「海の向こうをゆめみて」
http://www.hbgallery.com/index.html
HBギャラリー
4/5-4/10
 
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ステンシルを使ったイラストを描かれている方。ステンシルの特徴をうまく使った少し懐かしい感じの絵本の様な絵達です。
 
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個人的には余白のある感じの絵が好きでした。今回展示されている絵としては二つの方向性がある気がします。一つは形の美しさを構図と共に表現している絵です。ここら辺の感じはパッと見で一目でわかる構図や色合いで構築されています。ステンシルを使った描き方の特徴でもある簡易化された形状など、デザイン的な良さが出ている絵だと思います。
 
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もう一つの方向性は、描かれているその裏に物語性を感じられる様な情景を切り取った絵。私はこちらの方が好きですね。もちろんその絵に答えがある訳では無いのでしょうけど、そこに描かれている人が、物が、どんな感情を持ったり、どんな背景によって存在していたり、想像していくのが楽しいです。
 
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背景に物語が感じられると、色数少なくまとめてあったり、たとえモノクロでもその絵に膨らみが感じられるような気がします。もしかしたら、先ほどの構図を見せていく方がステンシルと言う技法には向いてるのかもしれませんが、うまくこの二つの方向性が溶け合っていけば、単純な形状なだけに観る側が物語性を想像する余地が広く生まれそうな気がします。
 
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それらの感覚は例えば新版画などで小林清親や川瀬巴水、もしくは吉田博や伊東深水などの作品を見て感じられるような事と同じなのかとも思いました。新版画の世界では版が同じで全く構図が同じでも、背景の刷る色を変えれば、それが朝の景色だったり夕方の景色だったり夜の景色だったりと絵としての情景は変わります。情景が変わるごとにそこに生み出される物語は刻々と変わっていくのです。あれは構図がしっかりしていて、その上で物語性が生まれるような余地があるからこそ、それだけ完成度が高いからこそ可能な技であるが故だからでしょう。ステンシルでも同じような可能性があるのだな、と思ったのでした。今回の展示を観てこれからどんな風に変わっていくのかが楽しみな作家さんでした。
 
 

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