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江之浦測候所 | 小田原文化財団 2018年8月メモ(去年の話)

もう去年の夏のことなんですけど、夏休みは湯河原と箱根へ行って来ました。その時のことを細かく書いていなかったのでここで改めて。さて、その旅行の一番の目的は、念願の江之浦測候所に行くこと。とにかく凄いところでした。アート好き、建築好き、歴史好きは行くべしです。
 
 
その時の全体工程のざっくりしたまとめはこちら。
夏休みの湯河原/箱根の記録(江之浦測候所、岡田美術館、ポーラ美術館、温泉など)
 
この江之浦測候所のlことを「いまトピ」に書きました。見どころのまとめ、どんな場所?というのはこちらをご参照下さい。
もう行きました?「江之浦測候所」が凄かった!アート&建築、歴史好きにオススメ
 
去年10月には見学エリアが広がったり、見学時間が長くなって2部制(私が行った時は3部制)になったり、当日に空きがあれば予約OKになったりと運営的にも変更しています。私が行った段階は去年8月、変更前の内容になります。
 
江之浦測候所 | 小田原文化財団(2018/08月段階)
 
 
こちらは現代美術作家の杉本博司を中心にした小田原文化財団が作った施設。杉本博司+建築家の榊田倫之で手がけた現代の建築、杉本博司の収集した古美術や名石、そして杉本自身の現代アート作品を組み合わせて観る事が出来るという、凄く贅沢な施設です。
 
また、「人類とアートの起源」と言うテーマを持っていて、生活の原点である春分、夏至、秋分、冬至などの季節の節目、日本古代からの信仰にあったような自然の観測、そしてその中での自身の場を確認するという意味を持った施設だとのこと。
 
この施設の一部もその節目の太陽の軌道を設定して作られているのが特徴です。それで「測候所」ということなのですね(登記上は「美術館」らしいです)。昔、財閥の人たちは日本の文化への貢献として様々な芸術品などを収集して、現在美術館などで公開していますが、杉本博司なりのそのような施設といったところでしょうか?杉本博司好み爆裂しています。
 
 
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明月門
 
さて、事前に予約した時間に施設に到着。根府川の駅から出ているシャトルバスか車で行くことになります。予約段階で駐車場又はバスを申込み。そして入場前に観るのはこの門「明月門」。鎌倉の明月院の正門として建てられた後、幾つか渡った後に根津美術館正門として使われていたもの。
 
 
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待合棟
 
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待合棟のテーブル
 
そしてガラスで覆われた現代建築である「待合棟」でこの施設のルール説明を受けます。テーブルは樹齢一千年を超える屋久杉の天板で、テーブルの片側の支えに「大観寺の水鉢」を埋め込んであります。
 
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待合棟内 杉本博司「放電場」
 
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古信楽井戸枠
 
この「待合棟」の地下には杉本博司の写真作品(この時は「放電場」や「劇場シリーズ」でした)などもあるので見落とさないように。また、建物入口前にある古井戸も由緒あるものです。
 
 
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夏至光遥拝100メートルギャラリー外側
 
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夏至光遥拝100メートルギャラリー内部
 
一番目を惹く施設なのがこの「夏至光遥拝100メートルギャラリー」。片側の壁が全面ガラス、もう片側の壁が大谷石の現代建築です。夏至の日の出の方向に向かって建てられているので、夏至の朝にはこの空間を太陽光がまっすぐに差し込むという仕組みになっています。
 
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夏至光遥拝100メートルギャラリー内 杉本博司「海景シリーズ」
 
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夏至光遥拝100メートルギャラリー内ガラス面衝突防止
 
大谷石側には「海景シリーズ」が展示されていて、ガラス面の衝突防止用に光学硝子を足にした衝突防止がありました。「待合棟」の目の前にこの建物があるので、ルール説明後に皆が一度ここに集まり少し混みますが、見学時間枠後半にもう一度来たらゆったりこの空間を独り占めできました。
 
 
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夏至光遥拝100メートルギャラリー海側先端
 
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夏至光遥拝100メートルギャラリー先端から見た景色
 
この先は海側へ突き出ていて展望スペースになっています。ここで海景シリーズっぽく撮りたくなるのですよね……。
 
 
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冬至光遥拝隧道内部
 
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冬至光遥拝隧道入口側 円形石舞台 
 
そしてもう一つの特徴的な建造物がこの「冬至光遥拝隧道」。冬至の日の出の方向を向いているトンネルです。冬至を一年の終点であり始点であると考え、冬至の朝には朝日がこのトンネルのなかに差し込むようです。トンネルの先には「円形石舞台」がありこれを照らし出すとか。
 
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冬至光遥拝隧道内部 光井戸
 
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冬至光遥拝隧道内部 光井戸の光学硝子
 
このトンネルの中ほどにある「光井戸」。上部は開いているので雨が降るとこの井戸の中に敷き詰められている光学硝子に雨粒が当るのが見るそうです。雨を視覚化する装置とも言えます。
 
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冬至光遥拝隧道内部 止め石
 
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冬至光遥拝隧道外側
 
トンネルの先にはそれ以上行かないようにと言う意味合いの「止め石」があります。ここ以外にもあちこちあるのでこれより先には行かないようにしましょう。「冬至光遥拝隧道」は外から見るとかなり突き出しています。
 
 
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冬至光遥拝隧道、光学硝子舞台
 
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冬至光遥拝隧道、光学硝子舞台
 
このトンネルの外側にあるのが「光学硝子舞台」。この舞台を古代ローマの円形劇場遺跡の再現をした客席が取り囲んでいます。舞台の基礎は檜の懸造りで組まれています。
 
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冬至光遥拝隧道、光学硝子舞台
 
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光学硝子舞台のガラス
 
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冬至光遥拝隧道上部の止め石 
 
隋道の上は止め石までは行くことが出来るのですが、高所恐怖症の私にはとてもそこまでたどり着くことは出来ず……。ガラス舞台の上は見学時は上には乗れません。
 
 
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茶室 雨聴天
 
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茶室 雨聴天(にじり口)
 
さて施設内には茶室が一軒あります。千利休作と伝えられる「待庵」の寸法などをそのまま写してはいますが、この土地にあった蜜柑小屋のトタン屋根を茶室の屋根にしていたり、いわゆる「本歌取り」のような形で構成されています。雨が降るとこのトタン屋根に雨音が響き、それを聴くことから名前が付けられました。にじり口の沓脱ぎ石は光学硝子です。
 
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掛け軸 杉本博司「日々是口実」
 
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竹箒の垣根
 
中にある掛け軸は「日々是口実」。杉本博司作品です。洒落ですね、洒落てますね。この横にある垣根も杉本博司作品の竹箒。
 
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石造鳥居
 
茶室のにじり口から海側を見ると「石造鳥居」があります。この方向は春分秋分の日の光のラインを向いています。
 
 
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石舞台
 
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三角塚
 
さて、他にも様々な歴史あるものや名石などが施設内にゴロゴロあります。能舞台の寸法で計画された「石舞台」。この舞台の橋掛りの巨石が向く方向は春分秋分の日の光のラインです。夜明け前に能を初め、演者が冥界へ帰る時にその背に朝日を受けるという設計だとのこと。「三角塚」は海を向く頂点が春分秋分の正午の太陽の方向を指しています。
 
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浮橋、亀石
 
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生命の樹 石彫大理石レリーフ
 
「浮橋」の向こうに見えるのは「亀石」。「亀石」が向いている北東は鬼門であり、そして首都の方向である。何万年後、この施設が太古の遺跡となったときに昔、栄えた都の方向をこの亀石が刺していると言うストーリー。この施設は近代文明が滅んだ時に何が残り、どう見えるかを考えながら作られたらしい。「生命の樹 石彫大理石レリーフ」は浮橋から光学硝子舞台へ抜ける入口の上にあります。
 
 
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百済寺 石橋、藤原京 石橋、大官大寺 瓦
 
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京都市電 軌道敷石
 
この施設内にある巨石の中でも一番見応えがあったのが縦に置かれている「藤原京 石橋」。その手前に下に敷かれているのが「百済寺 石橋」。その奥の水鉢の中には「大官大寺 瓦」がある。あちこちにある敷石は「京都市電 軌道敷石」を使っています。他にもそこかしこにある塔や石、水鉢、灯篭などすべて歴史あるものでした。
 
 
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建設中の「竹林」エリア
 
私が行った時はまだ建設中でオープンしていませんでしたが、昨年10月に新たな見学エリア「竹林」がオープンしたそうです。杉本博司のコレクションである化石が置かれている「化石窟」や杉本博司作品の「数理模型」などがあるようです。見学コースが広がったのもありますが、様々な季節の、様々天候におけるこの施設の姿を見てみたいですね。測候所とはピッタリのネーミングかもしれません。

 

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