« ムンク展―共鳴する魂の叫び | トップページ | ピエール・ボナール展 オルセー美術館特別企画 »

生誕110年 東山魁夷展/紙工視点

生誕110年 東山魁夷展
国立新美術館
10/24-12/3
 
東山魁夷、とても好きな絵が多いです。魁夷ブルーと呼ばれる青い色調、輪郭線の無いぼんやりと形作られた山や木々、同色系で揃えた表現で少しづつ色を違えた画面、どれも好きです。
 
Img_9763
 
魁夷の絵は構成は単純です。水面に映った景色なども、ほぼ画面の真ん中に水面と地面の切れ目がきます。普通は地面の方が多くなりそうなものなのに、ほぼすべてこの構成。奥行き感もパースがうまく取れているとは言えない絵が沢山あります。精緻さに関してはドイツやオーストリアを描いているものにうまく表現されているのに、日本の景色絵ではあまり精緻さが現される絵はありません。ただ、それなのに、とにかく惹かれるのが魁夷の絵なのです。
 
Img_9784
 
10年前、国立近代美術館で開催された東山魁夷展が懐かしいです。そのときの感想をブログで書いていました。なんか今読み直すとエモい感じですが、この時の感想でほぼ魁夷の好きな点を全部言っている気がします。
いい事ばかりではないさ〜東山魁夷展: 今日の献立ev.
 
 
それなので、そこら辺の感想は上記過去エントリに任せて、今回の展覧会の目玉である唐招提寺障壁画について。東山魁夷の集大成とも言えるのがこの唐招提寺御影堂の障壁画。完成までに10年を費やしたと言います。現在、御影堂が修理されているので、まとめて全点、内部の構成そのままに東京で見ることが出来るのです。
 
他の魁夷の絵は景色の絵も白い馬が出てくるものもすべて静かなイメージです。北欧の景色の絵などはその極みかもしれません。基本、魁夷の絵には人が出てこないからでしょうか?(今回の出展作では1点だけ人がいるのを発見しました。他にもあるかもしれません。)
 
Img_9766
 
ところがこの障壁画、その中でも「濤声」は特にまるで絵から音が出てきそうなくらいの動きがあります。海が産むうねり、響き、鋭さ。ところが他の襖の面では水墨画の静けさを表現しています。この障壁画を描くことにより、あの白い馬の絵が生まれたといいます。白い馬は祈りの表れだということです。
 
Img_9778
 
そして時代を追って最後の部屋にある後期の時代の絵、本当に構図が変わりません。この部屋の一点を初めのほうに持っていっても違和感は無いでしょう(もちろん専門家にはわかるでしょうが)。構図や色合い、描き方などに軸があり、ブレていませんでした。
 
人気が高い作家なので、きっと混雑しそうな展覧会です。期間もそれほど長くは無いので早めに行くことをオススメします。
 
 
 
紙工視点 荒牧 悠/小玉 文/辰野 しずか
SFT GALLERY
10/17-12/24
 
国立新美術館、地下のショップ横のギャラリースペースでの展示。「紙」と言うものに対して3人のデザイナーが取り組んだ作品を展示していました。
 
Img_9770
辰野 しずか
緩衝材のくしゃくしゃな感じを一つの質感としてあつかったもの。そこからうまれるものが結果として紙というものから自由になっている気がします。
 
Img_9774
荒牧 悠
紙の組み合わせなどで形や構造をつくり、四角だけではない紙の楽しさを表したようなものたち。結果としてやじろべえに行き着いたものも。
 
Img_9771
小玉 文
破れる、という紙独特の材質を上手く表現しているもの。金継ぎなどもモチーフにして結果としてカッコいい形になっている気がします。
 

|

« ムンク展―共鳴する魂の叫び | トップページ | ピエール・ボナール展 オルセー美術館特別企画 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 生誕110年 東山魁夷展/紙工視点:

« ムンク展―共鳴する魂の叫び | トップページ | ピエール・ボナール展 オルセー美術館特別企画 »