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水を描く ―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―

いやー、今年の夏はほんっとに暑いですよね。そこでそんな暑さ対策になる気持ちよい美術展のオススメです。そもそも美術館に行けばほぼ冷房が効いていて涼しいのですけどね。ただ、この展覧会はそれだけじゃなありません、清涼感ってものを展覧会にしたらこうなった!と言うべき涼しげな展覧会です。
 
水を描く ―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―
山種美術館
7/14-9/6
 
内覧会に参加させて頂きました。写真は内覧会で特別に許可を得て撮影したものです。すべて山種美術館所蔵です。
 
 
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橋本 関雪《生々流転》
 
タイトルの通り「水」をテーマにした展覧会です。それがね、本当に涼しげなんですよ。実際に冷房が効いていて涼しいのはもちろんなのですが、人って不思議ですよね、目から入ってきた情報によって体感の温度が変わったように感じるのですから。
特に、水が豊富な国に住む日本人にとって、この水というものは様々な景色の中で涼を伝えてくれるものだったりします。この展覧会はなどその状態によって表現されている水の姿やその周りの人の暮らしを伝えるものになっております。
 
 
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奥田 元宋《奥入瀬(秋)》
 
川を描いたものではこの絵が圧倒的に目を惹きます。いきなり秋の景色の紹介ですが、水の流れる様を繊細に書きながらもダイナミックな作品になっています。
 
 
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宮廽 正明《水花火(螺)》
 
水面を描いた絵の中、というか今回の展覧会全体でも一番目を惹いたのがこの絵ではないでしょうか?多分遠目では何の絵かはわからないかもしれません。ただ、それでも何だ?と思わず観てしまいます。
 
 
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宮廽 正明《水花火(螺)》(一部)
 
水面の上に投網が広がっている様を描いたものではありますが、蜘蛛の巣の様に広がる網の執拗な細かさ、そして海を点描で表現しているところなどもの凄いインパクトです。近くから遠くからじっくり見てほしいです。
 
 
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奥村土牛《鳴門》
 
さて、海の勢いは画家達を惹き付けるのでしょうか?先の写真にあったとても大きな屏風である橋本 関雪《生々流転》も海ですし、山種美術館と言えば、的な作品でもあるこの奥村土牛《鳴門》も海ですね。
 
 
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川端龍子《鳴門》
 
鳴門のうずまきは川端龍子も描いています。このダイナミックさを表現することが画家冥利に尽きるのだと思います。
 
 
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千住博《ウォーターフォール》
 
さて、勢いなら滝も負けていません。現代作家から代表して千住博がありました。涼しげという点では展覧会一番な作品かもしれません。
 
 
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千住博《フォーリングカラーズ》
 
同じ滝を描いた千住作品でも色が入ると見方が違います。涼しげと言うよりも光を感じるものとなります。一気に現代アート作品らしい表現となりますね。
 
 
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歌川広重(初代)《東海道五拾三次之内 庄野・白雨》[前期展示]
 
さて、そうは言いつつも、なんだかんだ一番身近で一番触れやすく一番表現が多様なのは雨では無いでしょうか?浮世絵などでも様々な雨の表現が見られます。この表現の違いを見ているだけでも画家達がどれだけ表現に苦労して、工夫したのかがわかります。
 
 
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竹内 栖鳳《雨中山水》
 
雨はダイナミックでもなんでもありません。ただ、その景色の中で、その雨の気配を描くと言うことに様々な画家達がチャレンジした相手です。
 
 
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小茂田 青樹《春雨》
 
描いた人数分の表現があり、工夫があるのが雨では無いかと思います。見えないような霧雨を、ただぼんやりとするのではなく、どう表現するのか。空気の様に存在感がなく、でも雨が降っているという確かな存在感、その矛盾を描くことに対してチャレンジした表現を見て欲しいです。
 
 
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竹内 栖鳳《緑池》
 
今回大きめの作品なども多かったですが、最後に小さな作品で、お気に入りをあげるとこれになります。ただぼんやりと色をにじませた画面。そこに蛙を入れ込んだだけでそれがいきなり水面としての認識になるというもの。
 
 
あ、一つだけ、この、山種美術館、夏は暑いので渋谷からバスで行くことをオススメします。かなり楽ですよ。
 

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