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桜 さくら SAKURA 2018 ―美術館でお花見!―

[企画展] 桜 さくら SAKURA 2018 ―美術館でお花見!―
山種美術館
3/10-5/6
 
山種美術館「桜 さくら SAKURA 2018 ―美術館でお花見!―」展、内覧会に参加させて頂きました。
※写真は内覧会で特別に許可を得て撮影したものです。
※奥田元宋《奥入瀬(春)》以外の展示作品は全て山種美術館所蔵品です。
 
とにかく気持ち良い展覧会、それがこの会場に一歩入ってみた時の感想です。会場にある絵すべてに桜が描かれており、それらが春の絵だと言うことだけでこんなにも展示室の雰囲気が変わるのか!と驚きました。この雰囲気を担っている一因には展示照明のこだわり等もあるようですね。「春」の到来を体験するようなそんな展覧会です。
 
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「桜 さくら SAKURA 2018」展会場風景
 
あまりの気持ちよい雰囲気につられて、まずはなんとなく会場をぐるっと一周してしまいました。絵を一点一点じっくり見るのではなくて、まるでふらっと公園を散歩するような気持ちで。そして展覧会最後にある小部屋が……いやー、心憎い展示演出です。
 
 
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東山魁夷《春静》
まず、展示会場のはじめに展示されている絵はこちら。館長が解説している絵がそうです。石山切の料紙のやぶり継ぎをイメージしたようなこの山のイメージに重なってくるピンクの桜。桜の色を表現する岩絵の具の混ぜ方などは何種類かあるようですが、画家による色の表現の差に注目するのも面白いかも。
 
 
さて展覧会の第1章は「名所の桜」
 
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速水御舟 手前から《道成寺入相桜 (写生1)》《道成寺入相桜 (写生3)》《道成寺入相桜 (写生4)》
速水御舟、やはりこの人の絵は上手いですね。スケッチになるとその上手さがくっきりと浮き出てきます。さらっと描いているように見えて表現が物凄く上手い。
 
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奥村土牛《醍醐》
奥村土牛の名作、京都・醍醐寺のしだれ桜。満開のソメイヨシノの華やかさとは違うしだれ桜の風情がぼんやりとした光の中に現れています。
 
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奥村土牛《吉野》
同じ奥村土牛の絵でも醍醐とはまた違った感じの桜の絵。手前の桜の樹自体を入れ込みながら桜色に染まる山あいを描いています。1本の桜を描いたものと山あい全体の絵の差。ただ、なんとなく色合いや光の具合の感じは似ている気もします。同じ作家の、同じモチーフの絵だからこそこう言う見方が出来るのですね。
 
 
そして第2章は「桜を愛でる」。桜と人の関わり、文学や歴史の中における桜などの絵がありました。
 
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左から松岡映丘《春光春衣》、菱田春草《桜下美人図》、上村松園《桜可里》
私は人物画はそれほど好きでないのですが、この一画には思わず目が行ってしまいます。華やかさに目を奪われる《春光春衣》、さすがは松園の描く美人《桜可里》、そしてこれは是非に近くで見なければ的な《桜下美人図》
 
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菱田春草《桜下美人図》一部
この左側の女性のポーズ、そうあの切手にもなった菱川師宣の見返り美人図の姿ですよね。あと、右下の端にいる……この動物なに?!フェレット?この時代居ないよね、そんなの?なんでしょう、イタチみたいにも見えますが。面白い絵です。
 
 
そして第3章が「桜を描く」この章の絵がまたじっくり見ると良いものが多いです。
 
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小林古径《桜花》一部
桜も、情緒的に描くとこうなるんだ、と言う絵。なんか好きな絵です。色合いが紅葉のような色合いだからそう見えるのかな?
 
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川端龍子《さくら》
さくらと言うタイトルでこう描きますか?的な絵です。本来主役であるはずの花は申し訳程度。ほぼ幹だけ。しかし、あの特徴的な幹のおかげで桜だとわかりますね。
 
そして最後の小部屋、ここが良かった。ここにあるのは全部夜桜の絵なんです。気持ちいいなー、とふわふわ歩いてて、この部屋に入った瞬間にふっと引き締まる感じでした。気のせいか気温も少し下がっているような感じで夜の神秘的な世界にひたることが出来ます。
 
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速水御舟《夜桜》
もうね、この絵大好きなんですよ。この美術館で何度も見ているのに、何度見ても「あー、この絵が好きだー」と見るたびに思ってしまう。本当に素敵な絵です。
 
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速水御舟《あけぼの・春の宵のうち「春の宵」
そしてこの絵も素晴らしい。と言うか、やはり私は速水御舟の絵は好きなのだな、と改めて思いましたね。御舟の絵ならなんでも好きと言うわけではありませんが、好きなものはその度合いがとても高いのです。
 
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千住博《夜桜》
桜には間違いなく妖しさもあるのですが、今回の展覧会でその妖しさを一番表現しているのでは無いでしょうか?夜桜ならではの世界観です。
 
 
様々な作家が描く桜。桜の絵だけで一つの展覧会を開くことが出来るのですから、どれだけ昔から日本人が桜を愛でていたかが判るというものです。そして実際に私はその絵で占める空間にいるだけで心地よさを感じているのですから、愛でる理由も判るものです。花見帰りに、雨の日に、ちょっとついでに、そんな時に美術館で花見と言うのもイイですね。
 
 
 
そして、山種美術館の次の展覧会、待っていましたの琳派です。
 
琳派 ―俵屋宗達から田中一光へ―
山種美術館
5/12-7/8
 
俵屋宗達+本阿弥光悦のあれも、酒井抱一のあれも、鈴木其一のあれも出るはずです。神坂雪佳もそうですし、琳派に影響された福田平八郎速水御舟加山又造などもあるようです。そして、なんとグラフィックの世界から田中一光の作品も登場とのことです。これは期待です。
 
この山種美術館の琳派展の少し前の期間に根津美術館でも琳派の展覧会をやっています。こちらは尾形光琳尾形乾山に注目した展覧会のようです。この二つの展覧会、併せて見に行きたい!
 
光琳と乾山 芸術家兄弟・響き合う美意識
根津美術館
4/14-5/13
 
 

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