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日本画の教科書 東京編 ―大観、春草から土牛、魁夷へ―

山種美術館開館50周年記念で館所蔵の名品を惜しみなく見せます!的な展覧会「日本画の教科書」。2月頭までの「京都編」が終わり、今は「東京編」が始まっていました。

 
 
 
日本画の教科書 東京編 ―大観、春草から土牛、魁夷へ―
山種美術館
2/16-4/16
 
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開館50周年記念、名品大公開!状態の山種美術館ですが、現在は「日本画の教科書 東京編」として山種美術館が得意する近代日本美術の作家作品を見ることが出来ます。展覧会とは関係ないけどちょっと前から入口入ってすぐの写真撮影コーナーが2柄になっていましたね。
 
※掲載写真は特別に撮影の許可を頂いております。
※今回の展覧会は全て山種美術館所蔵作品となります。
 
 
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松岡映丘《春光春衣》
 
明治時代以降の日本画、西洋画の影響も出てきたり、またそれにより余計に日本独自のモチーフや技法などへのこだわりも強まったり、時代の激動とあわせて日本画にとっても大きく変わっていく時代だったのではないかと思われます。上記《春光春衣》はモチーフは伝統的なやまと絵ですが近代的な色使いやトリミングによって近代絵画ならではのやまと絵の復興を目指したものです。
 
 
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左:橋本雅邦《日本武尊像》、右:小堀鞆音《那須宗隆射扇図》
 
この東京編では、岡倉天心を中心とする東京美術学校関連の作家である橋本雅邦、横山大観、下村観山、菱田春草に始まり、小林古径、速水御舟、松岡映丘、川合玉堂、そして戦後の東山魁夷、奥村土牛、平山郁夫、加山又造あたりまでの流れを一気に見ることが出来ます。
 
今回展示されている戦前の作品では上記のような神話や伝説などのモチーフが描かれた作品が多く展示されていました。戦後の作品と比べるとこの頃の作品は余白が多いのが特徴だとのことでした。
 
 
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小林古径《清姫》
今回修復が終わり綺麗になったこの作品、「美術館を建てるなら」と言うことを条件に古径から譲って頂いた作品だそうです。
 
似たような話は横山大観《心神》にもあり、大観は山種美術館初代館長・山崎種二さんに(当時まだ美術館は建っていなかった)「お金儲けも結構だが世のためになることをした方が良い」と言い、その言葉によって山崎さんは山種美術館を建てる事を決めたとか。《心神》も「美術館をつくるなら」が条件で購入を許された作品とのこと。
 
 
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渡辺省亭《葡萄》
 
最近話題の省亭作品も2点ありました。先日銀座の加島美術で見てきたばかりの省亭(このブログでも数日前にエントリ書きました)。今年100回忌をむかえて話題になっている画家です。
 
 
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速水御舟《粧蛾舞戯・葉蔭魔手》
 
この2点は「今回の展覧会」においては入場者全員に撮影OKになっています。蛾の絵と蜘蛛の絵は太陽の光と月の光、陽と陰などの対比をあらわしているとも言われてます。蜘蛛の巣は斜めから観ると雲母らしき画材が使われていてキラキラと輝いています。因みに御舟作品は山種美術館では2番目に所蔵作品数が多いとのこと。
 
 
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下村観山《老松白藤》
 
松と藤のモチーフと言うのは古くからのもののようですね。かなり迫力のある屏風です。山種美術館では展覧会ごとに幾つかの作品をピックアップして展覧会オリジナル和菓子を作っています。最近、美術館とカフェが話題になっていますが、展覧会ごとに和菓子やケーキを作る話はたまに聞きますが、結構大変そうですよね。
 
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《老松白藤》も今回和菓子になっています。今回の和菓子の元になった作品は横山大観《心神》、松岡映丘《春光春衣》、小堀鞆音《那須宗隆射扇図》、下村観山《老松白藤》、荒木十畝《四季花鳥》の5点でした。
 
 
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落合朗風《エバ》
 
『旧約聖書』「創世記」を題材としたこの絵、かなり奇妙な世界観です。ゴーギャンやルソーの影響を感じさせる画風という説明を聞きましたが、うん、確かに樹木や存在する動物達はまさにそんな、幻想的な感じです。
 
 
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荒木十畝《四季花鳥》
 
琳派を意識したような描き方の四季花鳥図。大正期の琳派ブームの影響も強く感じられる作品だそうです。山種美術館展示ケースの縦サイズはこの作品が入るようにと決定され設計されたとのこと。
 
ちなみに同じく琳派っぽい絵で言うと菱田春草《月四題のうち 春・秋》の2点も出ていました。この《月四題》は私がとても好きな絵で、月の光の美しさが描かれています。
 
 
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左:橋本明治《朝陽桜》、右:山口蓬春《新宮殿杉戸楓4分の1下絵》
 
後半の展示は日展系などを中心に。新宮殿の絵を皆に見てもらえるように同じテーマで作品を作ってもらったりしたものがここにあるのだとか。
 
更にこの後にあった東山魁夷の京都の四季を描いたものなどは川端康成から「今の京都を描いておいて欲しい」と言われた連作です。山種美術館には当時、《春静》と《年暮る》と言う春と冬を描いた作品が収蔵されていたので、東山さんが山種美術館10周年記念に夏の絵《緑潤う》、20周年に秋の絵《秋彩》を描いて四季の作品が揃ったという。冬の絵である《年暮る》はこの美術館でも人気の絵だとか。冬の絵だけど家の灯りなども描かれており、人の暖かさもある絵。私もこの絵大好きです。
 
 
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奥村土牛《鳴門》
 
こちらもこの美術館で人気の有名な絵です。山種美術館で一番所蔵が多い土牛作品の中でも代表作と言っても良い作品。こちらの美術館には土牛の作品は135点もあるそうです。
 
 
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今回の展覧会タイトル「日本画の教科書」に伴って実際に教科書や切手などに採用された絵などもあるそうです。また日本画の絵の具など画材の展示と解説もありました。岩絵の具の色の濃い薄いは材料の砕き方の粗い細かいで決まると言うのは知りませんでした。白い色を混ぜている訳ではなかったのです。と言うか岩絵の具は混ぜて色を作ることは出来ないようで、一度塗って、その上に別の色を塗って、と言う重ね塗りで色を作っていくのですね。色を作るのも経験と技術がモノを言う世界ですね。
 
 
山種美術館、次の展覧会は4/22からで、琳派好きは見逃せない「花 * Flower * 華 ―琳派から現代へ―」。
その次の6/24からは大きな作品が多く迫力のある展示になりそうな「川端龍子 ―超ド級の日本画―」。
その次8/29からは、この人の美人画は観たい!「上村松園 ―美人画の精華―」。
そして10/28から年末に向けては「川合玉堂 四季・人々・自然 ―ふるさとへのまなざし― 」。
 
かなり見ごたえある展覧会ばかりです。特に龍子の展覧会はいったいどんな展示となるのか、とても楽しみです。龍子展には八ツ橋図が出るのですよね。4月-5月で山種の琳派作品とその近くの根津の琳派作品を観て、その後に6月からの龍子の八ツ橋を観て、いろいろ観比べたり出来るというのはなんか贅沢ですねぇ。
 

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