« BODY/PLAY/POLITICS | トップページ | 未来を担う美術家たち 19th DOMANI・明日展 »

柳 幸典「ワンダリング・ポジション」

BankART Studio NYKの柳 幸典「ワンダリング・ポジション」。これは印象に残る展覧会でした。
 
 
 

柳 幸典「ワンダリング・ポジション」
BankART Studio NYK
10/14-12/25(1/7まで会期が延長になったようです)
 
 
いやー、本当に印象に残る展示でした。結構作品を通して言っていることは難しいことなどが多いのに、それを小難しくかんがえなくても受け取れるし、深彫りしようと思えば幾らでも深く突っ込める、そんな懐の広く深い作品ばかりが並んでいます。展覧会規模としても大きいので、一つの美術館の展覧会を見たくらいの充実度がありました。
 
Img_0235
 
川俣正さんが作ったホールを使って、電光掲示板で表示されている文字。インスタレーションとしてとてもイイ雰囲気ではありますが。
 
Img_0238
 
内容はこれ。作品タイトルの「Article 9」はこれでしたか。
 
 
Img_0242_2 Img_0243
 
そして今回の展覧会の中でも一番圧巻だった作品が、3階の展示室にあった犬島精錬所「ICARUS CELL」の再現展示。私は犬島にまだいったことが無いので、これは初体験。行ったことがある人にとってどうだったのかは分かりませんが、この場所でもとても素晴らしい体験でした。
 
Img_0249
 
通路に入って入口すぐにはヘリオス(太陽)が存在する。そう、これは、ギリシア神話に出てくるイカロスは蝋で付けた翼で空を飛ぶことが出来、空を目指すが、太陽に近づきすぎて蝋がとけ落下してしまうことを示唆した作品なのです。
 
Img_0250 Img_0257
 
イカロスは空に向かっていきます。通路の行き先には常に空が待っている。空に臨むように進んでいきます。三島由紀夫の書く文章がそこに重なります。そして後ろを振り返ると常に追いかけてくるヘリオス。逃げ切ることは出来ません。
 
Img_0258 Img_0261
 
そして通路の行き着く先には、空。天窓の向こうに空。神話は太陽神ヘリオスが空を飛ぶことが出来ることにより緩慢になっているイカロスを罰したと言う、人間のテクノロジー批判とも取れる話である。しかし、この作品の最後のこの空はこれは多分人によって様々な解釈が取れる気がします。神話どおりにヘリオスから逃げ切れない終末とも取れます。天窓の向こうの空が手が届かない何かへのメタファーとも取れます。ただ、私は追われるものから、その先に、展示と言う虚構の中に本当の空が見えたことによって、救いを感じました。神話とは逆に、空を本気で望む者への可能性を示唆しているようにも感じました。
 
 
Img_0290
 
この通路の向こうにあった展示も興味深かったです。暗闇に重なる瓦礫。その中に光る物体。
 
Img_0277 Img_0280
 
近くに寄るとそれは目玉でした。瓦礫は様々なものの寄せ集め(中には自動車もありました)、それらが表しているのは怪獣「ゴジラ」。今年、映画「シン・ゴジラ」がヒットしたのを受けた上でなのか、たまたまなのかは分かりませんが、インパクトの強い作品です。
 
 
Img_0298
 
2階展示室の作品は柳さんの作品の中でも有名なものが多かったです。「Ant Farm Project」は色砂で作った国旗の箱の中で蟻を飼うと言うもの。各国旗は繋がっていて、その間を蟻が移動出来るようになっています。そして蟻の巣が広がっていく様が見えるような作品です。蟻が世界各国をつなぐ……。
 
Img_0299 Img_0301
 
仲が良くなさそう(←想像です)な国を繋いだり、お札の中に巣食う蟻なども。
 
 
Img_0309_2
 
「Project Hinomaru」。とにかく赤くして丸くして、日の丸みたいに、な作品達(いや、本当はもっと深いコンセプトだと思います)。直島で見た、あのウルトラマンとウルトラセブンのソフビ人形、あれが日の丸を模していたなんて今知りましたよ……(多分作品タイトル見れば分かったのだろうけど、そこまで意識していなかった)。
 
Img_0313
 
壁にかかっている丸いのなんだろうなぁ、と思って近づいてみたら……。
 
Img_0314 Img_0318
 
なんと、印鑑!それもいろんな名前の印鑑が押されていました。他にも日本の紋章の中にビックリマークを見た作品なども。
 
 
結構、戦争や軍事的な事象を扱ってはいますが、ただ、体験するだけでも素晴らしい作品達ばかりです。1月7日まで展示期間が伸びたと言う事もあり、年末年始に行ってみるのもいいかもしれません。オススメです。
 
 
 
 

|

« BODY/PLAY/POLITICS | トップページ | 未来を担う美術家たち 19th DOMANI・明日展 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/38654/64594357

この記事へのトラックバック一覧です: 柳 幸典「ワンダリング・ポジション」:

« BODY/PLAY/POLITICS | トップページ | 未来を担う美術家たち 19th DOMANI・明日展 »