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荒木愛個展 I SPY Ⅱ

なんとか引越し作業も物を運ぶ、というところまで無事に終わり、後は開梱のみ……それがまた途方にくれている(物が多いのは自分のせいですがね)、そんな合間に幾つか前に予告エントリで書いた荒木愛さんの個展「I SPY Ⅱ」(画廊くにまつ青山)を見に行ってきました。
 
 
 

荒木愛個展 I SPY Ⅱ
画廊くにまつ青山
11/17-11/27
 
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イチョウも紅葉してきて人通りが多い外苑前。一本裏手に入ったところにある画廊くにまつへ。しかし、今年外苑前のイチョウ祭りが中止になったのはなぜなんですかね?
 
 
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鳥や昆虫などのモチーフの絵が多い、荒木愛さん。和紙に岩絵の具で描く、日本画の作家さんです。モチーフは現代的なものもありますが、技術や構図、箔の使い方などを見ると、なるほど日本画の技法に基づく絵を描く人なんだな、と改めて思います。
 
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まずは特筆するべきはDMにも使われていたブラックスワンの絵です。これは遠目で見ても素晴らしい佇まいを見せています。さらに近くで見ると黒鳥の羽の毛羽立ち感の表現や、水面に漂う蝶のもの悲しげな風合いなどの技術的な表現も眼を見張るものがあります。予告エントリのときにも書いたように私は白鳥の湖のオディールを思い浮かべましたが、したたかさや強さ、背徳的な雰囲気、そしてものがなしさをこの絵から感じてしまいます。
 
蝶の舞い具合は写実的なものから離れて、琳派の表現なども参考にしているとか。ああ、そういえば近代日本画の名作で炎舞と言う絵もありましたね……。隣にあった朱色の背景に小禽とゴム木の絵も本当に鮮やかです。
 
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そして、荒木さんの特徴的な手法の一つでもあると言ってもイイでしょう、削り出しの手法で描かれた絵が今回結構ありました。前回の展覧会の時には新たな表現の模索的な意味もあったのか、箔を使ったり、礬水液などで風合いを出した背景などで世界観を作り上げていました。今回の絵にもその技法は使われていました。ただ、今回の展示の絵のほうが圧倒的に描かれている物と技術的なものがうまく溶け合っている気がします。前のときはその時は気づきませんでしたが、今になって思うとまだ技術的には実験をしていて、少し手探り的なところがあったのかもしれません。
 
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今回、荒木さんの得意なモチーフの一つ、くだものの絵は今回無かったですね。カップに入った飲み物(パフェ?)の絵がありましたが、あれは実はシリーズ的に幾つかああ言うモチーフを描いた様なのですが、失敗などもあり、今回の展示では1点のみ。削り出しや日本画と言う特性もあり、そう言う表に出て来なかった作品は幾つもあるようです……。それら、荒木さんの頭の中にあった構成の絵たちも見てみたかったな。
 
鳥や虫、なども荒木さんが得意なモチーフですが、一見かわいく見えるそれらの絵の中にも深い面がありそうです。先ほどの黒鳥に至ってはその深さの表れが顕著です。また、巣の中に進入してきたススメバチを退治するため、数百匹の日本蜜蜂がススメバチを囲み、羽を震わせることによって発熱しススメバチを殺す、蜂球という現象を描いたものもありました。
 
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何層にも重ねて絵を描き、それを上から削っていき、層の下にある絵を掘り出すような形で立体感や重なり感を出し、モチーフを浮かび上がらすのがこの削り出し。失敗を許されない、さらに時間も手間も材料費もかかる削り出しの技法ですが、彼女の作品にしっくりはまるものになってきています。あの黒鳥の絵もまさかの削り出しでした。DMで見たときはこれは違うだろうと思っていました。
 
日本画は本当に印刷で見るものと、実際に近くで見た感じとの違いが大きいので、実物を見ないと本当に良さが分からないことが多いのですが、削り出しの表現などは更にその質感をリアルに見ないとわかりませんね、本当に。もし、ギャラリーに行って、作家さんが在廊されていたら、気になる技法や色、モチーフなどについて色々聞いてみるのもいいかもしれません。ぱっと見のかわいさだけではないものが見えてくると思います。
 

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