【総括】
琳派400周年と言うのもあり、大好きな琳派関連展示も多く、てっきり今年は私にとって琳派展覧会がずらずらっと並ぶのかと思ってました。
が、フタを開けてみたら現代アートが強い一年となりました。10本中7本が現代物。残る3本が古い日本の美術、なんと西洋物が一本も入らず!と言う結果に。去年も現代アートが多かったです。最近はそんな気分なのですかね。ま、私の好みとしては現代+和系というのはバランスいいかも。
今年は美術館やギャラリー、デザインベントなど含めていつもより多目の330本ほどの展覧会を見ました。また、年末近くになって(11月/12月で)見たものが3本も入ったという駆け込みが!
いつもどおり10本選定でその中で基本的には順位はつけず、見た順番で書いていきます。
光琳アート -光琳と現代美術-
MOA美術館
琳派イヤー一番手の展覧会。アート好きなみんなで旅行気分で行きました。そしたら現代アートまで取り込む素晴らしい展示でした。決してその後に食べた魚料理の印象でここに入っているわけではありません。
生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村
サントリー美術館
2016年の若冲展の混雑が恐ろしいですが、今年にはこれがあった。展示替えによりかなり展示量もあり何度も行ったので見ごたえありましたね。
山口小夜子 未来を着る人
東京都現代美術館
これは……ここに入っているのはもう自分の趣味でしかありません。山口小夜子と言うよりも山口さんを通して見た70年代カルチャー。その70年代が大好きです。
鈴木理策写真展 意識の流れ
東京オペラシティ アートギャラリー
はい、もう駄目なんですよ、鈴木理策と言う名前だけ見たら感動してしまいそうなんですよ、私。ただその期待を裏切らない素晴らしい展示でした。
国宝 曜変天目茶碗と日本の美
サントリー美術館
もちろん曜変天目茶碗の素晴らしさもありますが、とにかく他の日本美術作品のレベルが高くてびっくり。和様の書なんておもわず作品の前で足が自然に止まりました。
そこにある、時間-ドイツ銀行コレクションの現代写真
原美術館
いや、本当に私が写真の展覧会を今年の10本に入れるなんてね……と言いつつ最近入ってますね、笑。この展覧会の作品の質の高さには驚きました。
LABYRINTH OF UNDERCOVER
東京オペラシティ アートギャラリー
この展覧会、今年の10本に入れるかどうか悩みました。ただ、アンダーカバーのもつイメージがやはり好きなんですよ。世界観が好きなんですね。
鴻池朋子展「根源的暴力」
神奈川県民ホールギャラリー
結局、今年はこの展覧会にやられました。順位はつけないと言いつつ、これは……一番痺れました。どう言っていいか判らない無いけどとにかく凄かったです。
杉本博司 趣味と芸術-味占郷/今昔三部作
千葉市美術館
行くまではまさかこれが10本に入るとは思っていなかったです。行ったら打ちのめされました。もちろん須田悦弘作品があったというのも評価が高いですが。
ジョン・ウッド&ポール・ハリソン「説明しにくいこともある」
こちらもまさかの10本入り。拍子抜けするくらいに気軽に楽しかったです。ガツンと来たというよりもライトで構えない良さ、がいいですね。
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さて、惜しくも10本に入らなかったもので幾つかメモしておきたいものもあります。
まずあげなくてはいけないのがこの建物では最後の展示になってしまう神奈川県立近代美術館。
鎌倉からはじまった。1951-2016
PART 3:1951-1965 「鎌倉近代美術館」誕生
神奈川県立近代美術館 鎌倉/鎌倉別館
またビルの建替えによりしばらく休館となったブリヂストン美術館。
ベスト・オブ・ザ・ベスト
ブリヂストン美術館
他には今年は「企画」に趣向を凝らした展覧会が多かったです。桃山の美をうまく切り取った出光美の「日本の美・発見X 躍動と回帰」やスサノオと言う切り口が良かった「スサノヲの到来」、茨城県近代美の「笑う美術」など。国立近美の「No Museum, No Life?」はその中でも良い取り組み。
No Museum, No Life?―これからの美術館事典
東京国立近代美術館
いろいろと乗り越えなくてはいけなかった展覧会も……
SHUNGA 春画展
永青文庫
Don't Folow The Wind ノン-ビジターセンター展
ワタリウム美術館
今年は琳派イヤーだったので畠山記念館の「THE 琳派」、日本橋三越の「岡田美術館所蔵 琳派名品展」、横浜高島屋の「細見美術館 琳派のきらめき」 、10本に入れたMOA美術館の光琳展など。他にも良い琳派展はいろいろありました。京都の琳派展に行け無かったのは残念。
琳派と秋の彩り
山種美術館
燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密
根津美術館
着想のマエストロ 乾山見参!
サントリー美術館
また、器関連の展覧会が贅沢だった年な気がします。10本に入れた藤田美術館の曜変天目茶碗、藤田天目を見ましたが静嘉堂文庫でも稲葉天目を見ることが出来たので1年で2点の曜変天目を見ることが出来たと言う贅沢。後1点ですね……。先の琳派でも述べた乾山展、サントリー美術館で仁阿弥道八の展覧会もありましたね。忘れてはいけないのルー・シーリー。個人的には数年ぶりに再開して買ってしまった新見麻紗子さんの器とか。
没後20年 ルーシー・リー展
千葉市美術館
ルーシーリー鑑賞会(6次元)
新見麻紗子 作陶展
銀座三越
建築系展覧会も多かった。ギャラ間「藤本壮介展」、オスカー・ニーマイヤ―展もありました。フランクゲイリー関連と村野藤吾は良かったです。熱海に行ったときに見た名建築も良かったな。
建築家 フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"
21_21 DESIGN SIGHT
フランク・ゲーリー パリ - フォンダシオン ルイ・ヴィトン 建築展
エスパス ルイ・ヴィトン東京
村野藤吾の建築-模型が語る豊饒な世界
目黒区美術館
ブルーノ・タウト「熱海の家」 旧日向別邸
ATAMI海峯楼(隈研吾 水/ガラス)
デザイン系ではミナ ペルホネンや三木健「APPLE+」、単位展など、他にもnendoや色部さんの展示も。カルチャー系では岡崎京子展やマンガ*アニメ*ゲーム展。
nendo 2/3 ヘヤ モノ スキマ・nendo 3/3 モノ モノ スキマ
EYE OF GYRE
色部義昭:WALL
銀座グラフィックギャラリー(ggg)
現代美術系では、原美術館で蜷川実花:Self-imageやオペラシティの高橋コレクション展、水戸芸の山口晃展、森美の村上隆展、シンプルなかたち展、スカイザバスハウスの名和晃平「FORCE」がありました。ここは他にも沢山ありますね。
「石田尚志 渦まく光」
横浜美術館
束芋「息花」
ギャラリー小柳
塩保朋子「Cosmic Perspective」
SCAI THE BATHHOUSE
ヂョン・ヨンドゥ 地上の道のように
水戸芸術館 現代美術ギャラリー
日本美術関連でも良い展覧会も多かったです。再発見的なものが多かったでしょうか。
画鬼・暁斎
三菱一号館美術館
『月映(つくはえ)』 田中恭吉・藤森静雄・恩地孝四郎
東京ステーションギャラリー
生誕200年記念 伊豆の長八 ―幕末・明治の空前絶後の鏝絵師
武蔵野市立吉祥寺美術館
今年は美術系の映画も幾つか見ました。ターナーの映画もありましたね。去年あたりから美術館ドキュメンタリー系映画も多かったです。内藤礼さんの映画もありました。
『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』感想:A面
『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』感想:B面
と、10本以外の色々が長くなってしまいましたが、それだけ今年はバリエーションに飛んだ展覧会がいろいろあった様な印象があります。
結構、私としては(アート観覧的に)充実した1年な気持ちですね。来年も良い展覧会が沢山あるといいなー。
振り返るという点では3年前のこのまとめ。「今までで心に残った展覧会ってなんですか?」と聞かれてすぐに答えられるだろうか?と考えて、今までに見た中で印象的な展示を振り返ってみたもの。
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