杉本博司 趣味と芸術-味占郷/今昔三部作
杉本博司 趣味と芸術-味占郷/今昔三部作
千葉市美術館
10/28-12/23
写真家であり、現代アート作家でもある杉本博司さんの展覧会です。杉本博司さんの展覧会と言うと森美術館で2005年に開催された展覧会「時間の終わり」が思い出されます。あの展示も素晴らしかったです。
ただ、私としては大阪、国立国際美術館での2009年の「歴史の歴史」展が心に残っています。展覧会と言うよりも《海景》シリーズの展示が心に残っています。
そう、今回の展覧会の導入部は規模こそ小さいが「歴史の歴史」での《海景》シリーズ展示を彷彿させるものでした。いきなり心鷲掴み。
ちなみに今回の展覧会、二部構成になっていまして……
一部が「今昔三部作」というのが《ジオラマ》、《劇場》、《海景》と言う3つの写真作品シリーズに絞った展示です。
二部は「趣味と芸術-味占郷」と称しては『婦人画報』で連載中の「謎の割烹 味占郷」を展示として再現したもの。
「今昔三部作」では他《ジオラマ》、《劇場》も数少ない作品で間をもたせた空間に作り上げています。
三つのシリーズともに初期作から最新作までを見せるようにしていました。
世界各地の水平線《海景》
映画の最初から最後までを長時間露出の中で閉じ込めて、1枚の写真で1本の映画を表現した《劇場》
写真に写すと本物に見えるが、実は博物館などの自然再現コーナーだという《ジオラマ》
もう、この暗い、ゆとりある空間を楽しむと言う贅沢さ、千葉まで来た甲斐があったというものです。
そして二部目の「趣味と芸術-味占郷」。
各界の著名人のために掛け軸や器などを選んで料理でもてなすという『婦人画報』お連載。その掛け軸や器での床飾りを再現展示。
床の間展示だけではなく他の作品や、コレクション品も並んでいました。杉本さんが撮影した華厳の滝を掛け軸にしたものや平安時代の十一面観音。
今年のMOA美術館での光琳展で展示されていた月下紅白梅図。
床の間の展示もキリスト像を置物にしたり、月面写真を掛け軸に使い月見団子を置いてみたり。
大胆なトリミングの月(+古今和歌集の歌)に組み合わせていたのはマンハッタン計画(原爆作製のための計画)で出来たガラスの玉だったり、エジプトの死者の書の断片に青銅製の猫の棺を組み合わせたりと。
器の展示も素晴らしいです。楽焼茶碗かと思ったらムラノ硝子の茶碗でした。
他にも乾山様の茶碗やルーシーリーの茶碗も。
実際にこれらの器に料理を盛り付けてゲストに出した様です。乾山様の紅葉柄には月見の組み合わせ。鉄兜にすいとんを盛り付けたというのもありました。
展示の中央に目をひくのは大きな泰山木の花。これは木彫りでリアルな植物を彫る須田悦弘さんの作品。
はい、須田悦弘さん作品ファンの私としてはあちこちに様々な須田さん作品が展開されているのが嬉しい。
ここで須田さん作品コーナー!
先の泰山木、そして焼夷弾を花入れに使った屁糞蔓。
須田さんお得意の青い朝顔と白い昼顔。
鉄兜に夏草を合わせたのはつわものどもが夢のあと。雨どいを花入れに使った下には松の葉。この葉も木彫り!
ちなみにこのすりこぎは木彫りながらも須田さんの作品ではありませんでしたね。
そして月下紅白梅図の屏風の下にこぼれた白い梅の花。少し裏を見ると赤い梅の花も。
もうね、私の満足感、わかってくれますかね?この展覧会への満足感。はい、素晴らしい展覧会でした。
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