『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』感想:B面
中村佑子監督の『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』と
言う映画の完成披露試写会に参加してきました。
この映画を見て私の内藤礼さんの作品対する個人的な感想
を中心に(映画と関係なく)書きます。A面の続き。
映画『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』公式サイト
劇場公開は9月頃、渋谷のシアター・イメージフォーラム
この映画を見ていたらどうしても私の個人的な内藤礼さん
の作品への振り返りをしたくなり、それを先に書いたA面
の続きとして書きます。映画とあまり関係ないのでB面と
して。アビーロードのB面みたいな個人的なエントリ。
え?そもそもA面、B面って何?って若い人たちは言うの?
レコードとかさ……カセットテープとかさ……ああ、知ら
ないのですね……。
私が初めて内藤さんの作品を見たのが2002年。食糧ビルの
中にあったRICE GALLERY by G2で。ビルの取り壊し前の
ギャラリー最後の個展でした。
ここで見た内藤礼さんの「地上に一つの場所を」が私の
現代アートへの印象を作り上げたものの一つなのです。
ただただ、面白そう、でしかない現代アートが心に残るもの
内藤礼さんの作品にはその後も何度も体感する機会があり、
近々では庭園美術館での個展、資生堂ギャラリーの椿会など。
は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」)
MOTやトリエンナーレなどに参加している作品も見ているし、
ギャラリー小柳でも個展を何度か。
2回目の直島に行った時の感想
内藤礼考~「地上はどんなところだったか What kind of Place was the Earth?」
内藤礼 すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している
すきなもの、内藤礼
http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2008/02/post_5801.html
内藤礼 信の感情、アーキテクツ/1933/Shirokane:東京都庭園美術館リニューアル
結局、その時の感情がどんなであれ、その時の状況がどん
なであれ、文字にしてしまうと似たような感想におさまっていく。
それでいてその時その時の感情などが揺り返してくるのだか
ら、ある意味たまらない、それが内藤礼さんの作品の記憶。
(「このことを」家プロジェクトHPより)
それでいてその時その時の感情などが揺り返してくるのだか
ら、ある意味たまらない、それが内藤礼さんの作品の記憶。

映画を見てて思ったのが、内藤礼さんの作品はそれを見て
いる人の感情を動かす。つまり作品を見ていながらも結果
として自分と対峙するすることになる。
映画で内藤礼さんの作品に向き合った5人の女性たちはそう
見えた。そしてその体験を画面で見ている私は、そこで
以前、内藤礼さんの作品を見て書いたこと。
----------------------------------------------------
静かな時の流れを感じ、そしてその中に身をたゆたう。
その時間の中に居るのが自分だと、自分の周りに巡る
のがそれと同じ時間だと、そこで気がつく。
内藤さんの作品を見る旅に時間の流れと言う物を考える。
普段は時間の流れと言う物は電車に乗り遅れるとか、
睡眠時間が、とか約束の時間とか、そんなもの。
ただただ何もせず、何かをジッと見て5分過ごす、と言う
のはかなり何か強い物がないと無理である。それが無い
のに内藤さんの作品の前に数分間居る。その時間の流れ
をいつも考える。電車に、約束に、睡眠に、そして内藤
さんの作品に、使う時間は全て同じ時間なのである。
私の周りにある、と言う事では。
でも、違う。何が?と聞かれても答えられないが。
言葉にできない、でも、言葉にしたい、内藤さんの作品
を見るたびに陥るジレンマである。
きっと、作家の想いもあるのだろうが見る人に委ねる、
そして見る人がそれぞれの(自分の)背景で作品を感じ
る、それが内藤さんの作品の特徴である。
----------------------------------------------------
今度、作品集が発売になるという事で、これも楽しみです。
『内藤礼作品集 1986-2014』
http://www.millegraph.com/
http://www.millegraph.com/
家にある内藤礼さんの幾つかの図録などを見返してみた。
左:内藤礼×西沢立衛 豊島美術館写真集
右:発電所美術館 内藤礼「母型」写真集
両方とも未見の展示ですが、一瞬を捉えた写真が想像を
掻き立てます。
左:内藤礼個展 庭園美術館図録「信の感情」
右:内藤礼個展 神奈川県立近代美術館図録
「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に
水があるように存在している」
この図録2点。印刷が内藤さんの作品体験にかなうわけ
ではないのですが後で見る事により追体験をし、その時
の気持ちを呼び起こすことができる。
そのためにハッとする様な一瞬の写真、印刷の色合い
を図録にも求める事になる。写真は共に畠山直哉さん。
庭園美術館の図録はデザインが祖父江慎さん。
祖父江さんがこだわったのが色の再現。
廣済堂のドーナツドットと言う技術を使って色の階層表現
をより深く出しているそうです。立体感や色のなめらかさが
素晴らしいです。
| 固定リンク
コメント