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石田尚志 渦まく光

横浜美術館の「石田尚志 渦まく光」 、夜の美術館でアート
クルーズと言うイベントに参加してきました。
 
「石田尚志 渦まく光」
横浜美術館
3/28-5/31
 
横浜美術館が実施している夜の美術館でアートクルーズ。
閉館後の美術館で、学芸員の解説つきで展覧会を見ると
いうイベントです。石田さんの作品は説明があると更に
解りやすいのでこのイベントにはピッタリ。
 
※写真は館の許可を得て撮影しております。
 
夜の美術館、この壁面に投影するのは作品リストにもない
のですが、オープン直前に石田さんが館のプロジェクター
を持ち出して投影したものだそうです。
20150418_21_06_18
 
石田さん、まずはアーティストとしては画家としてキャリアが
始まっている。そこから発展してドローイング・アニメーション
の世界へ。アニメーションをやってからは約20年のキャリア。
 
と言うことなんですが、確かに、石田さんは映像系のアート、
それもコマ撮りアニメの作家さんと言うイメージが強いの
ですが、作品はとにかく「描く」ことを意識しているものが
多いです。担当学芸員さんが言っていましたが「石田さん
はやっぱり画家なんだな」と言うその言葉がしっくりくる
今回の展示でした。
 
吹き抜けにある作品《海の壁-生成する庭》
20150418_21_24_33
 
イベント限定という事で石田さんが子供の時の絵などを見せ
て頂いたのですが、子供ながらに自分の世界を持っていそう
な方です。アーティスト一家に生まれた悩みなどもきっとある
のではないでしょうか。
 
 
年代別で無く、テーマ別に展示されている今回の展覧会。
 
 
1章「絵巻」。
入って目に入るのは2点の作品。共に映像と絵巻を広げた
絵画の組合せで展示されています。
 
一つは《絵馬・絵巻》。カラフルな絵巻に描かれた絵に対して
モノクロ反転の映像が組み合わさる。これを初めて発表した
世田谷美術館での展示ではモノクロ映像に加えてカラー映像
も流していたとか。同じ作品でも環境等により展示のアレンジ
をする様です、石田さん。
20150418_21_09_22_2
 
もう一つは《海坂の絵巻》。これはアーティストファイルで、
もしくはMOTのコレクション展示で見た方は居るのではない
でしょうか?一見、先の《絵馬・絵巻》と同じような形態では
ありますが映像が平面的なものから斜めに見た奥行き感
を出したものになっています。
この作品はとても好きです。
20150418_21_08_43
 
他にも《20枚の原稿》。原稿用紙に描かれた絵を掛け合わ
せて見せていく。20枚×20枚なので400種類の絵が生まれ
るわけです。掛け合わせたものはテーブルに埋め込まれた
モニタで見る事が出来ます。
20150418_21_10_50_2
 
最後には400種類の絵が原稿用紙の枠に収まって一覧に!
20150418_21_10_37
 
 
2章「音楽」
石田さんにとって音楽も作品の重要なポイント。
 
石田さんの代表作の一つでもある《フーガの技法》。
映像だけでなくコンセプトシート、コピー(実際にアニメに
使った絵)、インクと修正液で描かれた原画の展示。
この作品は作るのに6年かかったそうです。
主旋律を図形に置き換え描く、それをコピーして修正液で
変えてまたコピー、それを果てしなく繰り返し、そのコピー
で作り上げたアニメーションです。
20150418_21_12_34
 
もう一つ《絵馬・絵巻2》と言う作品。3種類の絵がありそれを
アニメーションにする。そこに即興で音楽を付ける(音楽は
石田さんの弟さんが担当)。そこから絵を掛け合わせ、その
音楽までも掛け合わせてしまうという作品です。
20150418_21_14_40
 
 
3章「身体」
 
《渦巻く光》
今まであまり正方形の作品を作ってこなかった石田さん
ですが府中での制作で正方形のパターンを使い、この
展示室が正方形という事もあり、正方形の新作を作成。
テーブルを回しながら描き、裏から透過光で光らせると
言う今回の展覧会のタイトルにもなったのがこの作品。
象徴的に天井から吊るされています。
20150418_21_15_55
 
《影の部屋》
2面のモニタの片側には紙に描くポイントを陰で投影。
もう一つは紙に触れていないときの軌跡をCGで投影する
と言うネガポジ的な扱いの作品。これは説明を受けないと
解らなかったなぁ。
20150418_21_16_18
 
《3つの部屋》
部屋へのペインティング、そして部屋の一部をキャンバス
にしておくことで、結果、部屋全体へのペインティングの
一部を切り出して見せる事になる。
20150418_21_16_42
 
《夏の絵/浜の絵/海中道路》
これは私は好きな作品。水で道路や浜に描く、残らない
絵画。結局、身体性を求める様見える作品は初期の
パフォーマンスへの回帰でもあり、絵を描く事を見せたい、
と言う欲求、つまりはやはり石田さんは画家なのかと思う
様なそんな作品。
20150418_21_17_04
 
《燃える机》
前の展覧会のピーコックルーム展示の部屋をそのまま使い
府中で作った作品を再構成した新作。実際の部屋を模した
ものへ投影した映像、小さな模型へ投影した映像などが
リンクして居るようでリンクしていないのか?入れ子構造
なのか、別々なのか?と石田さんの頭の中が一番表現され
ているのではないかと言うコーナー。
20150418_21_17_49_1
 
 
4章「部屋と窓」
 
《白い部屋》
小さな部屋とフィルムの投影機、となりの部屋の四面映像
と言う組み合わせの作品。部屋の中にあった投影機から
映し出される映像が撮影カメラやペインティングと組み合わ
さり入れ子構造の様に展開していく作品。
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20150418_21_18_38_1
 
《部屋/形態》
石田さんの〈部屋〉シリーズ第一作。
アナログな16㎜フィルムの風合いがイイです。
こう言う風合いはとても好きだなぁ。
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《燃える椅子》
この作品正面にある《椅子とスクリーン》と言う作品を
新たに解釈して作った近作。椅子の映像や描かれた
影そこに本物の影や椅子と言う物体が絡んで来て、
光と影が空間を取り巻く、今回の展覧会で一番美しい
と言える様な作品です。
20150418_21_19_44
 
《REFLECTION》
海外に行って煮詰まった石田さん、別の場所での製作
の機会によって明るい気分になり、それがそのまま
作品に表現されたような気持ちの良い作品。
外からの光が部屋に絵を描いている、それをそのまま
石田さんが描いた、そんなスッキリした作品。
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《光の落ちる場所》
矩形に対する石田さんの考え方の一つの形の新作。
コンプレックスとも言えるような矩形への対峙を映像として
切り裂くような形にまで発展。
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そして最後にまた第1章へ戻り繋がるような形で終わる。
《色の波の絵巻》
20150418_21_20_35_1
 
 
 
解説を聞いているとところどころに出てくるのが
「フレームの限定から逃れたい」
「既存のフレームから解き放たれたい」
と言うこと。絵画のフレームから逃れてアニメーションへ。
更にはスクリーンのフレームや作品としての在り方、
見せ方などのフレーム、常にそこから解き放たれる事を
考えて活動しているようです。
そしてその結果、また元に戻る、うねる、渦巻く、
そうしながら上昇していく、そんな石田さんの作品は
これからも注目していきたいです。

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