ヴァロットン ―冷たい炎の画家
三菱一号館美術館「ヴァロットン ―冷たい炎の画家」のブロガー
特別内覧会に行ってきました。
アートブログ「青い日記帳」×三菱一号館美術館さんの企画です。
※写真撮影は内覧会のため許可を取っております。
「弐代目・青い日記帳」
http://bluediary2.jugem.jp/
また先日荻窪の6次元で実施された「ヴァロットン・ナイト」にも
参加しましたのでその内容なども交えUPします。
「ヴァロットン ―冷たい炎の画家」
http://mimt.jp/vallotton/about.html
三菱一号館美術館
6/14-9/23
ヴァロットン展の内覧会に参加してきました。
また、その前に荻窪6次元で開催された「ヴァロットン・ナイト」にも
参加しましたのでそこで聴いた話なども含めて。
ちなみに荻窪6次元のトークショー「ヴァロットンナイト」ですが、
発表して一晩で予約一杯になったそうです。正直ヴァロットンと言う
画家がそれほどまでにネームバリューは無いと思います。
なんですかね、でもなんか気になる、と言うあの雰囲気は・・・。
正直言うと私もヴァロットン、なんか気になるなー、と言う程度の
ものでした。でも何が気になるか良く判らない。
ハッキリ言うと今でも判らない。
でも、見て判ったのは、なんか好きなんですよ。間違いなく好き。
まぁ、なんか変なんですよね、ヴァロットンの作品って。いろいろと。
こんな絵、気になりませんか?
【複数の視点】「ボール」
手前と奥で視点が違う。これは二つの視点で撮影された写真を
元に描いたようです。
6次元のヴァロットンナイトの時にこの絵については来場者の感想
などを色々と聞いてました。これが明るいととるか暗いととるか。
そして手前の土と奥の緑、左側の影と右側の日差し、手前の子供
と奥の大人たち、いろいろな視点でいろいろな物語が語られていま
した。もう、これだけで一時間語れそうな感じでした。
内覧会でも高橋館長も学芸員の杉山菜穂子さんも真っ先に
この作品の前で説明を。
他にも部屋うちを描いている絵で手前のテーブルと奥の人物の
視点が明らかに違うのもありました。ここらも写真をもとにしていた
のでしょうか?
【アングル】「夕食、ランプの光」
食卓の手間に邪魔な影が。これは画家本人の影とのことです。
普通なら邪魔になりそうな影を敢えて一番手前にもってくるこの
アングル。いったい何を狙ったものでしょう?
「貞節なシュザンヌ」
敢えての手前のソファの背、の向こうの3人の密談。女性の怪しげな
目に、男性の頭のハイライトと今回の展覧会で気になるNo.1です。
2章のテーマが”平坦な空間表現”でした。ここら辺にあった絵も
かなり描いているもの、描き方、アングルが面白かったです。
浮世絵やナビ派の影響が色濃く出ている気がします。
【お尻】
とにかくお尻が目につく絵が多いです。お尻マニアでしょうか?
圧倒的なのは「臀部の習作」。上の写真右側。
いくらお尻が好きとはいえ、このお尻・・・美しいモチーフではない
ですよね?いや、趣味は色々だけど、絵にかくなら美しいもの
ではないのかな・・・?これを19歳で描いていたなんてね・・・。
後は次の神話の所で出てくるけど全般的に女性が美しくない
とか・・・何かトラウマが・・・。
【美しくない神話】
神話に出てくる神様って美男美女が多いですよね?ところが・・・
「竜を退治するペルセウス」
ペルセウスが竜を退治してアンドロメダを助けるシーン。
三段腹の王女アンドロメダ、大道芸人の様なペルセウス。
そして竜退治・・・いや、これワニでしょ、ワニ。
神話モチーフとしてはこんな絵も。
「引き裂かれるオルフェウス」
黄泉の国の秘密を男性だけに話したオルフェウスはこの世で
女性に痛めつけられます。引きちぎられたり石で叩かれたり。
女性に何か変な認識でもあるのでしょうか・・・?
そして、その絵を見た後にその斜め前にある絵を見ると・・・「憎悪」
アダムと言イヴのパロディのこの絵、この女性がヴァロットンの
奥さんの顔にそっくりなんだそうです。
女性に変な認識が・・・つまり奥さんに何か・・・?
【版画】
私は版画作品が一番好きでした。
ヴァロットンの中でも変でいて、でも比較的判り易いのが版画作品。
実は一番作家の心に素直な作品が多いのではないでしょうか?
「にんじん」の挿絵もヴァロットンだったのですね!
男との女の「情」を描いたもの、群衆や一般の世の中に対する皮肉、
そして最後に戦争に対する想い・・・。
一番ひねってあるアイロニーたっぷりの風刺画である版画が、一番
作家にとって素直に見えるというのが、ヴァロットンならでは、な
気もします。
白と黒のコントラストだけで浮かび上がる版画はセンスの塊です。
他にもナビ派との繋がり、日本の浮世絵の影響なども展覧会で見る
事が出来ます。下の絵には浮世絵が描かれています。展覧会では
この絵の隣にその実物(ヴァロットン所有の浮世絵)の展示が!
「ヴァロットンナイト」で6次元のナカムラさんが言っていたのが・・・
冷たいと熱い×抽象と具象、4つのカテゴリーを作るとヴァロットン
は冷たい具象。「熱い」系は確かに展覧会など見ていてもお腹が
いっぱいで満足度はある。ただ、意外に取り上げられない「冷たい」
系の方が現代のイラストレーターなどには影響を与えているのでは
ないか?
確かに熱い系はわかり易いけど、影響として根っこに残るのは
冷たい系な気がします。
あと、今回音声ガイドがスマートフォンのアプリになって出てます。
http://mimt.jp/vallotton/goods.htm
大きな画面で画像を見る事もできるし、展覧会終わっても自分の
携帯に情報が残るのはイイですね。このエントリ書くときにも重宝
しました。
キャプションやサインなどにヴァロットンの絵に出てくるモチーフが
あちこちでてくるのも今回の展覧会の楽しみかも。
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