光悦-桃山の古典(クラシック)-
五島美術館に光悦-桃山の古典(クラシック)-展を見てきました。
いやー、もう泣きそうになる位凄い展覧会でしたよ。
琳派好きならもちろん、日本の文化が好きだって人はほんとに見た
方が良いです。
光悦-桃山の古典(クラシック)-
http://www.gotoh-museum.or.jp/exhibition/open.html
五島美術館
10月26日から12月1日
本阿弥光悦の展覧会・・・それは行かねば!という事で行ってき
ました。凄く私好みの展覧会でした。
書、書と絵画のコラボ、陶芸、漆工などマルチアーティストである
光悦を一通り紹介しています。
元々刀剣の鑑定や研ぎ師を生業にしていた本阿弥家、一流品の
目利きになるのも時間の問題。
特に書に関してはこの時代の書の名家の三人「寛永の三筆」の
1人として認識されていたようです。
そして、書と絵画のコラボ作品、つまり本阿弥光悦×俵屋宗達の
ぶつかり合いです。
そしてこれが琳派と言うムーブメントの始まりです。
何度見ても思うのですが、日本のこの時代の絵って、画面として
は間があったり、空白が多かったりして、パッと見はスカスカなの
なのですよ、デザイン的には。なのに見ると頭の中にドーッと情報
が流れ込んでくる。なに?この情報量?と。
この隙間に読み込まれている情報量はどれだけなんだろうと。
そして実は光悦がそのバランスを読み取る力がとても(光琳や
抱一よりも)凄いのではないかと思ったりします。
美しい料紙に書を書くのは以前からありましたが、光悦は俵屋
宗達の画を下絵として使って、その上に書をしたためてます。
まぁ、当時、宗達はまだ無名だったかもしれませんが、なんと、
思い切りのいい・・・。
宗達は下絵ならではの単純化された下絵を描きます。その上に
ある時は重ねて、ある時はずらして、書を書きこんでいく光悦。
宗達の下絵と言う挑戦状を受け取った光悦はそれを遥かに
超えるセンスで書をこれ以外に無いぞ、と言うバランスで書き
込むのです。この二人が居なければ琳派はあり得なかったです
ものね。凄いです。
個人的に展示されていたものでお気に入りは
鹿下絵新古今集和歌巻断簡
蓮下絵百人一首和歌巻断簡
花卉蝶摺下絵新古今集和歌巻
四季花鳥下絵新古今集和歌色紙帖
四季草花下絵新古今集和歌色紙帖
四季草花下絵三十六歌仙和歌色紙帖
四季花鳥下絵新古今集和歌短冊帖
そして陶芸・・・楽焼きを中心とした光悦の茶碗。
赤楽茶碗、黒楽茶椀などの光悦茶碗がならんでます。
個人的なお気に入りは
重要文化財 黒楽茶碗 銘 雨雲
黒楽茶碗 銘 東
黒楽茶碗 銘 残雪
飴釉楽茶碗 銘 立峯
重要文化財 赤楽茶碗 銘 雪峯
膳所光悦茶碗
他にもいきなり国宝の舟橋蒔絵硯箱があったり、この小さい筒
に一体何匹鹿を描いているんだ、と言う重要文化財 群鹿蒔絵
笛筒も見どころ。
茶碗関連の展覧会という事であればこの前に根津美術館で見た
井戸茶碗もすごく良かったです。
ただ、個人的にはこちらの光悦展の方が好みでした。
茶碗だけでなく書と絵画のコラボ作品などもあったというのもあり
ますが・・・とにかく光悦の作品は色っぽいのですよね。
茶碗にも色気がある、書にも色気がある。この色気大事ですよね。
実は私は今まで琳派が好きな割には光悦にそれほど注目して
いませんでした。パッと見派手な光琳や静かに語りかけてくる
抱一の方に目を奪われていたのです。
それが今年、和様の書の展覧会で光悦を見て、つまり目を紛らす
光琳や抱一などが無い、それも周囲がシンプルな書の展覧会の
中で光悦作品を見た時に、光悦の凄さがようやく判ったのです。
ほんとに、琳派ファン失格です。なんで今までこれに気が付かな
かったのだろう?今まで何を見ていたのだろう?
と言うわけで今年は光悦再評価の年です、私にとっては。
今さら気づいた割には、ですが、こういう物に心が震えるというの
は本当に自分が日本人なんだな、日本の文化をもっと知らなくて
はな、と改めて思ったのでした。
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