琳派芸術2
出光美術館で琳派芸術2を見てきました。
琳派芸術2
出光美術館
10月27日から12月16日
2011年の1月から3月に開催された琳派芸術第1部+2部は酒井抱一
生誕250周年記念の展覧会でしたが震災により途中閉幕。
改めて今回装い新たに琳派芸術2として復活です。
前回の2部を基にしながらもそのまま再現でなくリニューアルされ
た展覧会になってます。
俵屋宗達から酒井抱一、そして鈴木其一と言う流れはキープしなが
らも抱一よりも前の時代の作家作品も見ることが出来ます。
まずは前期展示を見てきました。
※乾山の作品も沢山ありましたが、私、あまり好きでないのでそこ
はノーコメントにしてます。
「金と銀の世界」
ここには抱一の風神雷神図屏風や夏秋草図屏風草稿など琳派ファンに
お馴染みであり、見逃せない作品があります。
抱一の八ッ橋図屏風は光琳の八ッ橋図屏風の写しではあるのですが
細かい点でいろいろ違います。今年の5月に根津美で光琳の八ッ橋図
屏風を見たばかりだったので違いがよくわかります。一枚の絵として
は抱一の方が完成度高いとは思いますがデザイン的に処理されたよう
な光琳の方が実は立体的に見えるのかな、と思いました。
たとえば橋桁など、光琳の方は平面的に描いてあり、抱一の方は橋の
向きと自然な角度になってます。ただそこに屏風のジグザグの奥行が
絡んでくると同じ方向だったり違う方向に角度が付いたり、と抱一の
方がどうしても不自然に見えてしまうのです。デザイン処理としての
光琳の技なのでしょうか?
実は抱一の紅白梅図屏風は私的には一番の見どころかと。
特に白梅の方の素晴らしさと言ったら・・・!
其一の秋草図屏風は銀が黒くなっていなければどんなに美しかった
ろうに・・・
ミニチュア(ひな飾り用)の四季花鳥図屏風(裏が波濤図屏風)も
何度見ても欲しくなります。このサイズなら家におけますよね。
特に銀一色の波濤図は神秘的とすら言えます。
「草花図の伝統」
抱一、十二カ月花鳥図貼付屏風の素晴らしさは言うまでもなく。もう
得意業と言ってもイイですね。
其一の秋草図屏風が意外に(?)あっさりして良いなぁと。
伝 尾形光琳の秋草図はこれ?光琳?的なイメージでした。
同じく伝 尾形光琳の芙蓉図屏風は光琳っぽいですね。これも花を
描いた銀が黒ずんでしまっていましたが、これが銀色だったら・・・。
伊年印の四季草花図屏風は個人的には少しくどく感じてしまう・・・。
「江戸琳派の先駆者」
ここは中村芳中や俵屋宗理などに注目したコーナー。
中村芳中の扇面貼付屏風の滑稽さがイイですね。
「俳諧・機知・闇」
其一の暁桜・夜桜図がなめらかですね。其一のこのテイストの絵を
もっと見たいな・・・。
「抱一門下の逸材」
このコーナーは鈴木其一独断場。
其一の藤花図は表面に散らされた銀の細かい文様がやはり黒ずんで
いて、これが銀色だったらキラキラ散って綺麗だったろうに・・・
と銀の黒ずみ残念シリーズの中でも最も残念な作品。
其一の桜・楓図屏風の構成の見事さや四季花木図屏風の細かい花等
のグラフィック的に処理された表現がまた凄いです。
単純にデザイン化された、まさにグラフィック的な草花に対して、
同じ画面内に如何にも絵画です、的に描かれた木の幹の同居。
これぞ正統派琳派の作品、と言い切ってもイイでしょう。
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