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アラブ・エクスプレス展

森美術館でやっているアラブ・エクスプレス展を見てきました。
 

アラブ・エクスプレス展
森美術館
6月16日から10月28日

日本人が知らないアラブ。

アート作品、とは言えども扱っている内容が紛争や政治的なものが
多かったです。そこら辺がおそらく日本とは大きく違うところでしょう。
自分たちが恵まれてる国にいるのだなぁ、と強く思わされます。

写真や映像作品も多かったですね。また、国外で生まれた作家や
今、国外に住んでいる作家が多いのも特徴でした。
アートに力を注ぐ事ができるのは富裕層が多いのでしょう。国外に
住んだり生まる余裕があり、また、作品を作る余裕も教養もある人
がアートに関われるという実情があるのでしょうね。

個人的には写真や映像の合間合間にある立体作品などが目に
つきました。気になった作品をいくつかピックアップします。
ギャラリートークに参加したのですが少し遅れてしまい途中まで
説明を聞くことできず、その間はこの作品何言ってるのだろう?と
妄想しながら見てました。

サーディク・クワイシュ・アル・フラージー《私の父が建てた家(昔むかし)》
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この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

この作品はとても抒情的で影絵アニメの様な手法を使った少し
センチメンタルな作品。個人的に好きだな、このテイスト。
向かって右にいる人と左のスーツと両親の写真は映像でなく実際に
描かれているものです。何も映っていない時の様子は下の写真。

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この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

 

 

マハ・ムスタファ《ブラック・ファウンテン》
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この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

一番注目の作品はこれですかね。黒い噴水。アラブといえば、の油
をイメージしているようです。吹き上がる黒い水と周囲に飛び散り、
床を汚している黒い滴が印象的でした。アラブに富、そして争いを
もたらす黒い水。背後に見える夜景、油から出来る電気で繁栄して
いる街との繋がりを象徴しているんだったら皮肉的だな、と。

 

 

アハマド・マーテル《マグネティズム》
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この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

これはメッカに集まる群衆、をイメージした写真ですが周りの群衆
に見えるものは砂鉄。磁界に巻き込まれる砂鉄をそう見做した物。

 

 

シャリーフ・ワーキド Sharif Waked 《次回へ続く》
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この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

一見何かの声明を読み上げている兵士のようですが・・・。
実際に読んでいるものは千夜一夜物語とのこと。

 

 

オライブ・トゥーカーン《(より)新しい中東》
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この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

これは体験展示的なもので、地図がばらばらにしてありそれを
来場者が勝手に入れ替えたりできるというものです。一見、
パズルの様で楽しそうですがそこには国境の意味を考え
させられる作品となってます。そして自由に組み替えられる各
国の中で一つだけ動かせない国があり、それがパレスチナ、と
言うのもメッセージが強い作品となってます。

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この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

 

 

アーデル・アービディーン《アイム・ソーリー》
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この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

作家がイラク戦争の時にアメリカで周囲からこの言葉をよく言われ
たそうです。一見単純なこの作品にも深い意味が・・・。

 

 

ジョアナ・ハッジトマス&ハリール・ジョレイジュ《戦争の絵葉書》(「ワンダー・ベイルート」シリーズより)
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この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

元々は実際にベイルートで売られている観光写真はがき。その写真
のネガに対して内戦で破壊された場所や建物のところを直接焼いて
穴をあけ、それを再度写真はがきにしたそうです。はがきは会場から
一枚持って帰れます。個人的にはこの作品が一番好きだったかも。

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この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

 

 

エブティサーム・アブドゥルアジーズ《リ・マッピング》
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この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

三角や多角形の光る立柱。これは一つ一つアラブ周囲の国を
表しているそうです。国の名をアルファベットに対応した数字で
表現して形を決める(下の写真です)。そして柱の高さはその国
のアート産業の盛んさだそうです。

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この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

 

 

とまあぁ、この様な作品が並ぶ展覧会。あなたのもつアラブの
イメージとどう違いましたか?同じでしたか?と問いかけられ
ている様です。

皆が持つアラブ的イメージ、アラブの伝統文化や文様、文字等
ををモチーフにした物がないのはどうして?と質問をしてみた
ところ、そう言ったイメージしやすいアラブのモチーフはあくまで
も「手法」であって、それが=アラブ的だというわけではなく、
これらの作品にある「主題」が今のアラブを象徴している。
「手法」と「主題」でに対して今回は「主題」としてアラブを表現
している作品を選んだ結果こうなった、という話でした。
なるほど、といったところです。

ただ、それでもやはりパッと見でアラブの伝統を生かしながら
そういった主題を掘り下げている作家もいただろうから(私の
想像ですが)そのようなものも見たかった、もしくはその様な
手法に目を向けたコーナーもあってもよかったかな、とは思い
ました。写真や映像系の作品が少し多いかな、と思ったのは
本音でして、現代アートに慣れている人でも少し飽きたり、
深入りしにくいような所もあったので。
この系の作品が多いと頭のよい人が作った作品を頭のよい
人が企画した、でも見る人には楽しくない展示に見えがち。

この展覧会はそう見えてしまうのは勿体ない展覧会ですので
とっつきやすい面もあり、純粋なアラブへの憧れ感を持つ様
な作品も見てみたいな、と思いました。

ま、平和な国にいる人間の意見だというのはありますが・・・。

MAM PROJECT 017 イ・チャンウォン
森美術館
6月16日から10月28日

上記展覧会と一緒にやっていた韓国のアーティストの作品。
これ良かった!(個人的にはこちらの方が好きかも!)

暗い部屋の中のあちこちに白い影(本当は影でなくここだけ
光が反射して明るくなっている)で人や手など色々な形が
浮かび上がってます。
さまざまな写真の一部切抜き、抜かれた面にミラーを張って
光を当てるとその形の像が壁に映るというもの。

その写真のシーンが、その記憶が、光となり影となり、壁に
映し出されているような幻想的な作品でした。

 

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