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林綾野さんと観る、「セザンヌ-パリとプロバンス」展

国立新美術館でやっている「セザンヌ-パリとプロバンス」展を
キューレターの林綾野さんの解説で見る機会があり、それに
参加させて頂きました。

正直個人的にはそこまで気にしてなかったセザンヌ。
セザンヌの暮らしたところにはほとんど行った、そしてそこで
見た風景を元に話をしてくれる林さんの一遍通りでない解説
はそんな私でもすごく楽しめる内容でした。
 

「セザンヌ-パリとプロバンス」展
国立新美術館
3月28日から6月11日

※注:写真は会場の許可の元撮影した物です。

まさに「100%セザンヌ!」というキャッチフレーズの通り
全てセザンヌ作品の展覧会です。
良く考えたらこれって凄いですよね。
1/4位が日本の美術館所蔵というのもある意味凄いけど。

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その展覧会を林綾野さんが解説してくれるという機会に参加
させて頂きました。

セザンヌの行った所のほとんどに行ったという林さん。
一言では何と説明していいかわからず捉え所がなく距離が
縮まらない感の強いセザンヌだったけどセザンヌが見た物を
見ていたらなんとなく解ってきた気もしてきた(でも、言葉で
それを説明するのはやはり難しい)とおっしゃっておりました。

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また、実際の場所(絵に描かれている場所)に行って気が付い
たことは風景などもそのまま描いているのではない、と言う事。
坂道が交差しているところなどもどんなアングルから見ても
その絵の構成にはならないと気が付かれたそうです。

「首吊りの家、 オーヴェール=シュル=オワーズ」などはまさに
それの様です。

セザンヌは書きたいものを見てそれをどう表現するか、構成を
とにかく考えて描くのが好きだったのではないか?と。

普通なら太陽が輝き、波が踊り、食べ物は美味しそうに、その
物を見てその魅力をそのまま引き出すのが絵としての役割
だと思われますが、そうでなくそれらを物として見て構成に
こだわって描いていると。

ただ、それは決してセザンヌが表面的な構成にこだわっていた
というわけでなくその人や物の魅力はいろんな角度からみえる
物がそのものなどの魅力なので、それを表現しているのでは?
という事もあの静物画「 りんごとオレンジ」の前でおっしゃって
ました。

リンゴのこちら側を描く、そのリンゴには向こう側がある、さらに
その向こうには別のリンゴがあり、そのリンゴにも・・・
といういろいろな面を1枚の絵で表現したくてリンゴを密集させ
たものを組み立てて構成してできた絵なんだと。
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またセザンヌと言えば絵のモチーフとしてあげられるのが・・・
「サント=ヴィクトワール山」。実際に見に行ったところはじめは
なにか、しけた山だな~的な感想で・・・ただ、何日もずっと見て
いると見る時間や角度によって印象が全然違う表情をする、
夕方なんかピンクで可愛いってくらい、と。そこで色々な表情が
見えると嬉しくなってくるようです。

そこで・・・心の原風景をセザンヌは表現しようとしているのでは
ないか?と思われたとか。

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「3人の水浴の女たち」という絵はマティスが持っていた絵だと
いう事です。マティスは「一番影響を受けた画家は?」と聞かれ
「セザンヌ」と言い切ったという。

セザンヌは色にもこだわったとの事。最後の方のコーナーにある
「庭師ヴァリエ」の表情を表現する色使いも素晴らしい。

この展覧会の目玉の一つとしてはレ・ローヴのアトリエの一部を
再現したコーナー。復元物もありますが実際にアトリエにあって
セザンヌが使ったものを持ってきて展示されているという贅沢!
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家庭の悩みもあったのにこのアトリエや外で死ぬまで絵をかいて
いたセザンヌ。
他にセザンヌは坂が好きだったのではないか?という事もおっしゃ
っておりました。

ワーカホリックで坂フェチ・・・セザンヌがんばれ!

他にも「ジャス・ド・ブッファンの大広間」の紹介も壮観でした。
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構図と色にこだわったセザンヌについて林さんに少しだけお話を
聞きました。
見た物をそのまま、それらしく描くのでなく人でも食べ物でも
リンゴと同じように物として構成。
そんな新しいことをやりたいというセザンヌの試みは当時の
サロンに理解されるわけもなく、当時は評価されなかった。
ただ、逆にそう言う新しい試みに敏感な画家仲間たちには
尊敬されたというのも当然の話かも、と。


正直、ネームバリューはあるし、有名な絵もあるセザンヌです
が私は個人的には何が何でもセザンヌ見なきゃ!とまでは
思ってませんでした。
捉えどころもないし、静物画もあまり好きじゃないし。
たぶん、解説なしで見に行ったらそういう印象のままだったの
だと思います。
林さんの解説を聞いてセゼンヌの見えなかった心の内が少し
だけ、ほんの少しだけ垣間見えた気がします。


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六本木、国立新美術館で開催中の「セザンヌ−パリとプロヴァンス」展(6月11日まで)国内外から結集したセザンヌ作品だけで構成される正真正銘の「セザンヌ展」。“100%セザンヌ”の看板に偽りなしです。 「セザンヌ−パリとプロヴァンス」展 http://cezanne.exhn.jp/ 今回は展覧会の企画から美術書の執筆、編集まで幅広く活躍されているキュレーターの林綾野さんをお迎えして、綾野さんの視点から「セザンヌ−パリとプロヴァンス」展の見どころをお聞きしてきました。 セザンヌの... [続きを読む]

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