鳥と言う美への愛と浪漫〜鳥のビオソフィア展
今でこそ暇があれば美術館、な私ですが、若かりし日(あったの
です)他の少年に漏れず、恐竜などにハマる様な博物館が、自然
科学系、自然博物系大好き少年でした。そして次に動物、虫、鳥
に興味が向かう訳です(シートンやファーブル、椋鳩十ですね)。
そして、一番の興味が「鳥」に向かった訳です。
空へ?と言う何でそう言う方向に進化が向かう訳?飛ぶって発想
はどこから来たの?な進化を遂げたあいつらですよ。
あの多様さ、そして空と言う物を手に入れる為の唯一無二の形状
(もちろん虫も飛びますが)、あの美しさは他には無い。
バードウォチングをしに早起きする日、鳥の声を覚える毎日。
欲しい物は双眼鏡と鳥の図鑑と言う(嫌らしい)少年。
山へ行っても海へ行っても川へ行っても鳥の声を、鳥の姿を探す、
そんな少年でした。
そしてそんな少年がとても気になる組織がありました・・・
「山階鳥類研究所」
大人になったらここで働く、と決めたものです。
自分は博物学者になるんだ!と。
そんな私は今や鳥と言えば
ハツにタン、あ、セセリもあるんだ。塩で。後は鶏皮ポン酢!な
大人になってしまいました。ああ、時の流れは・・・。
鳥のビオソフィア展
この展示、そんな鳥好き少年及び鳥好き大人のが浪漫が込められ
ている展示でした。
鳥のビオソフィア−山階コレクションへの誘い
東京大学総合研究博物館
3月15日から5月18日
鳥に対する浪漫と言うと「大空へ・・・」となりそうな所です
が今回は、ちょっと違って、鳥と言う生き物に対する尊敬と
敬愛の念、美しさに対する賞賛への浪漫が込められてます。
もう、鳥類LOVE、なわけです。
一応博物館、と言う形ではありますが、博物学的に珍しい、や、
貴重、などの観点が無くても、美しい、を楽しみに行けるもの。
さらに、心をくすぐる(くすぐられっぱなし!)博物的演出。
先に出た山階鳥類研究所の剥製等のコレクションを中心に、鳥っ
て良いよね!ってまさに鳥への愛を隠しもせず剥き出しにした
展示です。アート&サイエンス、と言う視点から切り取った展示
(まぁ、アートに関しては導入だけのサワリだけでしたので少し
物足りない所はありましたが)。
※以下の展示写真はホームページで見る事が出来ます。
いきなり2体の雄鶏の巨像!これはこれは。心掴まれます。
第一室
入り口入って正面にブランクーシの「空間の鳥」がシンボル的な
オブジェとして設置されてます。そしてそれと対峙するかの様な
大きな卵。マダガスカルにいたエピオルニスと言う巨大な鳥、の
卵がこの空間を作りあげている。
始祖鳥の化石、絶滅した鳥の卵、レオナルド・ダ・ヴィンチの本
、バオバブの樹の異様な光景などが先の2点の周囲を取り囲んで、
これから何が始まるのか掴ませない様な変な期待感を煽ってます。
第二室
入ったらイキナリ鳥鳥鳥。第一室からこの様子が何も見えず、
イキナリこいつらが出て来る、ってのがニクイです。
剥製の部屋。いろんな鳥達が集まって騒いでいる様。
真ん中には小鳥が集まる樹。鳥の宝石ハチドリ系が樹に群がって
いる(コゲラとかいた方のもう一つの樹、のキャプションにも
ハチドリ系と書いてありましたが、あれはハチドリメインじゃ
ないですよねぇ?)。周囲には少し大きめな鳥達。猛禽類が多か
ったですね。他にもサギやペンギン等。
Ouroorosと言う冊子を見るとここの部屋は鳥が樹にとまっている
様な感じで見せたいと、言う事が書いてあったが、ガラスケース
の木の枠がそれにしてはちょっと強いかな、と言う感じ。
博物学的な所はこの枠で感じが出ているのだが、どうせなら、
この枠はもっと細い主張しない方が良かったかもなぁ、とも思う。
あと、個人的に残念なのは、ハチドリが鳥の宝石と言うのは了解
だが、日本の鳥の宝石であるカワセミ系、後は単純に私が好きな
コマドリ、コルリ、ルリビタキなどの日本の美しい鳥がドカッと
あったら凄く嬉しかったんだけどねぇ、と。
第三室
はい、この部屋欲しいです。博物学者に憧れた少年はこの部屋を
何度妄想した事やら。赤い床と壁の部屋として古い時代の博物学
者の部屋を再現。真ん中の机の上には古いタイプライター。
周囲の棚には鳥の剥製や図鑑、地球儀等が並んでいる。
壁には博物誌の絵が飾られている。博物誌の絵がまた、そそりま
すよねぇ。この部屋を自分の家に作りたい!と思った人は多いの
であないのだろうか?これぞロマンですよ。
エトピリカの剥製が渋いなぁ。
山階鳥類研究所の鳥の剥製分類棚がまた、美しくて淫美。
この部屋の外にあった毛利元寿「梅園禽譜」の絵がまた良いの
ってなんのって。博物誌絵画、素敵!
第四室
鶏、ニワトリ、にわとり!
人の手が入った、つまり、家畜、であるニワトリ。
有名な尾長鶏も。天然記念物なんだよね、そう言えば。
人の手が入っているのに天然記念物って、考えてみれば凄い。
ニワトリの多様性、それは人の育種の執念だったんだな、と。
第五室
これぞ博物館的な圧巻の展示。
こちらにも博物誌絵が。シーボルトの本まである。
そしてガラスケースには様々な鳥の剥製、骨格標本が並んで
いる。最後には見たい物をしっかりと押さえました!的な
展示。木のベースにガラスケース。ケースを止めている金具
や剥製を展示している金具のアームが塗装等していなくて、
地色のままというのが本当に十九世紀の博物館テイストで、
くすぐる演出。そこに並ぶライチョウ、アホウドリ、カモ、
キーウィ、フクロウ、キジなど。
アオサギの骨格(あの首はこの細い骨でどうやってもって
いるのだろう?)や、鳥?恐竜なの?なパラフィソルニス
の骨格がまたイイ。
と言う感じで5つの部屋でそれぞれ違った見せ方をしている
この展示。鳥とそれに関わる人(アート、研究者、育種者)
や道具などの「美」をくっきりと浮かび上げ、見せてくれる。
変に説明的でもなく、過剰なサービスもなく、適度な演出だ
けで見ることが出来たのが良かった。
(研究者が見るとどうなのか、違った感想はあるのかもしれ
ないですが)
とこんなに書いておいて展示は明日まで・・・。
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コメント
こんにちは。
行っちゃいましたね。。。
やはり。
力の入った記事、さすがです。
投稿: Tak | 2008/05/17 14:32
>Takさま
行ってしまいました。
これ、本当に書くの難しいですね、思い入れがあるがだけに。
いやー、でも、鳥は良いですよ〜。
もう、夢とロマンの塊でしたよ〜。
投稿: KIN | 2008/05/18 01:25