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いい事ばかりではないさ〜東山魁夷展

でも次の扉をノックしたい

今日はなんかいつもと表現が違うような感想になってしまったかな。
しようがない。見た物を表現するのにそう言う形でしか表現が出来
なかったのだから。

なんと言うのでしょうか?「物の形や反射する光の色」では無く
「空気にとけ出した色を描く」、そんな絵。

溶け出す形、染み込む色、そして静かな波紋

 

生誕100年 東山魁夷展
国立近代美術館
3月29日から5月18日
Highlight3_work_photo


東山魁夷の絵にはあまり輪郭が無い。色の濃淡や少しの色の差で
形が浮かび上がって来る。それも同色系で揃えた色の違い、例え
ば緑なら緑系の色に少し青が入っている、茶が入っていると言う
差だけで表現される絵。

それらの色で統一されたぼんやりとした絵。
形作られないのに、その形が浮かび上がって来る絵。
Highlight1_work_photo_3


今回びっくりしたのはスケッチの段階ではその輪郭が意外にと
はっきりしていることである。そこから完成されるにつれて、
どんどん滲んで来る。空気の中に溶けて行くように。
きっとその滲みの中に魁偉の頭の中ではハッキリとした輪郭が
浮かび上がっているのだろうと思った。だからこそのあの絵
なのだろうと。
Feature2_photo


またあの色も素晴らしい。日本人ならでは(?)のあの滲んだ
ような色。あの青。こんな青を直に見る事が出来てほんとうに
嬉しい。叙情的と言ってしまえばそれだけの表現だが、なにか
心の静けさの中に染み込んで行く物がある。そして、その心の
水面に静かに小石を落としたようなささやかな波紋が出来る。
Down_wph_3


魁偉のモチーフとして有名な白馬は、その波紋を眺めている様
だった。この波紋、一体どうしてくれよう?小さな波紋なのに
静々と広がって行って、どうにも止まらない。
Feature3_photo


水墨絵風の屏風に目を奪われる。静かに、静かに、でも強く見
つめられているような絵。
そしてやはり圧巻は唐招提寺障壁画の「濤声」。青に染まった
空間は落ち着かせながらも緊張感のある世界を作っていた。
そして、もう一つのふすま絵「揚州薫風」。こちらは落ち着い
た色で表現されてがいるが、樹々の印象は鋭い。それなのに、
ゆったりとした心持ちにしてくれる。
High_05_2


ちなみに、両方とも実際の土地レベルからの高さ位に展示され
ています。すこし中腰になってみると畳で正座して見るくらい
の高さで見る事が出来ます。その目線で見るボリューム感で、
濤声から得られる緊張感、揚州薫風から得られる心持ちが最大
となって感じられる気がします。特に揚州薫風の方は木が少な
い方の襖が畳に正座した時の目線レベルに木の根ベースがあり
その下には何も描かれていない、と言うのが大きな理由かと。
Com_ph_06


ちなみに今回の展示の中で私が一番釘付けにされてしまったの
は83番の「夕静寂」。魁偉の絵の中でも濃淡の差が最も少ない
のではないでしょうか?黒みがかった青がわずかな濃淡で樹々
をかたどっている。その中にわずかなポイントで、そして最も
効果的なわずかさで流れる瀧。群青のモノクロームの中の一筋
の白。これは惹かれました。
この絵を心に留めたいが為に図録を買ってしまった。絵ハガキ
とか何故この絵が無い!
1008_6


あと、もう一つ、絵の中に白馬以外の生き物はほぼ出て来ない、
動物も人も、魁偉の絵。後期の絵の中にキジバトがいる絵が。

全くの余談ですがお客さんの中に青緑の上着(コート)を着た
女性が居た。まるでその色は魁偉の青緑のようだった。
もし、意識してあの色のコートを着ていたのであれば面白い。
(お前はそんなに絵に心打たれたような事書いていて結局女性
を見ていたのか!と言う突っ込みは無しで)
Exhb_109

ちなみに・・・
長野県信濃美術館・東山魁夷館
Pho_03

東山魁夷せとうち美術館
Setoutimu1

上記共に谷口吉生さんの設計です。
谷口さんのお父さん谷口吉郎さんと東山魁夷さんが仲が良かっ
たと言う縁らしいですが、谷口さんの建築と魁偉さんの絵は
とても合うと思う。
私はせとうち美術館の方は見に行きましたがとても気持ち良い
美術館でした。もう一度行きたいと思います。
直島やイサムノグチ庭園美術館、丸亀の猪熊弦一郎現代美術館
(これも谷口さんの設計)と絡めて是非、見に行きたい所。
長野の方も行きたいなぁ。
※東山魁夷記念館と言う物が市川にあるようですね。設計は
 知りませんが。美術館ではなく記念館なのか。

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コメント

遅ればせながら昨日観に行きました。
私が一番気に入ったのは28番の「萬緑新」
(絵葉書は売ってなかった)
「冬華」が展示終了で観れなかったのが残念。
暑い日が続く中、清涼感ある時間を過ごせました。

あ、そうそう「夕静寂」の絵葉書、こっちでは売ってたよ。
暑中見舞いのハガキで送ろうかね? 涼しげな図柄だし。

投稿: おちゃ | 2008/08/10 21:57

>お茶さま
おおっ、行ったのですね(家から近い?)。
この暑さの中で(そちらの暑さは知らないけど)見る
魁偉の絵、ってのも良いかもね!

うー、建物が見たい〜。

投稿: KIN | 2008/08/11 09:58

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