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隠密と調和~四国巡り、建築編その2・アート編その2:地中美術館(安藤忠雄)

GWの間に行った四国三県、建築・美術と温泉を交互にツアー
第三段。安藤忠雄さん設計な地中美術館。

私が前回直島に行った2002年当時はこの地中美術館はあり
ませんでした。今回初の地中体験です。
前回の旅行記

去年のGWは2時間待ちとか言う事前情報を仕入れていたので、
混む事は多少覚悟してました。
ところが、ちょうどGW中の平日だったので全く待たずにOK。
比較的空いてました。次の日は休日。午前中に本村で会った
おじさんの話だとでその段階で1時間待ち。昼頃は2時間待ち。
いやー、2日のうちに行ってよかった!
この美術館は空いている時と混んでいる時で全然見え方が違い
ます。空いている時に行けた方がやっぱり良いですね。

 

5月2日
地中美術館

言わずと知れた安藤忠雄さんの設計した建築。
ここは初めて、と言いつつも雑誌などで事前情報は山ほど。
私自身も知ってるつもりになってました。

しかし・・・実際に見たら・・・やっぱりカッコイイ!
写真で見るのと実際に体験する事の違いを改めて実感。
判っているつもりではあったけど、こういう事って本当に体感
して見るのって全然違う感覚ですよね。
特に周景との一体感や光や影の生み出す明暗の色濃い
この建物は特にそう思います。
前にも書いたんだけど、私は別に安藤信者じゃありません。
でも、実際に見るとカッコイイと思ってしまう建築、そして思わ
せてしまう建築を建てる事の出来る安藤さん、凄いですね。

福武總一郎さんは本の中でこんな事言ってました。
「外側から目には見えないがそこに非常に意味のある精神
の営みが隠されている。それは自然と調和しながら生き、
天地の間の全てのものに神が宿っているといると信じた
日本人本来の精神性にも通じるかもしれない」

なるほどー。
確かにそう言った精神性を感じる場所でもあります。

思い出したのが星の王子さまの中に「砂漠の中には水が
隠されているから砂漠が美しくキラキラしている。
」と言った
ような件があったと思いますが、確かに、隠されている何か
を私達が密やかに想い、それが故にその物は妖しく、美しく
見えると言う事なのかなぁ、と思いました。

ベネッセハハウス側からこの美術館を見たらこんな感じ。
Pict0179
左の方にある窓がカフェの窓です。

別のHPからの写真だと上から見た美術館はこんな感じ。
Chichuue
緑の中にところどころある部分が美術館の中の部屋の天井
が抜けている所です。埋まってます。

まずはこちらの入り口から。
安藤建築っぽいコンクリ。
Pict0076

近づくと美術館の名前。
Pict0077

この坂をあがっていくと美術館の入り口です。
(ここら辺から写真は取れない)
ゲートになっている裏側に関わった人の名板がありました。
こんな所に名前が残るのって良いなぁ・・・。

美術館の入り口から洞窟状態。
そしてその洞窟を抜けるとイグサ(?)を使った四角の吹き
抜けの庭(四角コートヤード)。
この潜って抜けた感じの演出が気持ち良い。

そこから先に進んでミュージアムショップを過ぎ石を使った
三角の吹き抜けの庭(三角コートヤード)へ。

このコートヤードの周りの回廊がまたくすぐります。
庭側の壁にスリットが入っているんです。
Chichuslit (別のHPより)
これがこの庭のまわりをグルッとまわってます(三角の2辺)。
そして、このスリットはずっと繋がっているんです。
つまりこの切れ目の途中に柱も何もない。
壁が浮いている?って感じです。
普通だったら絶対に途中につっかえ棒を入れないともたない
です。たぶん、別の所で構造を取ってるんだろうけど、本当に
不思議な感覚の建物です。

ちなにも階段の手すりも良く見ると凄く細く凝っている。
普通だとこんな物作ったらお金かかるし、そこに凝るなら他所
に金を使う(もしくは安くする)ってもんですが、安藤さんは
そんなところにも手を抜かない。まぁ、こう言うこだわりを認め
てくれる人が居て、そこまでこだわれる自分が居て、その為
の努力をしてきて、成功してきたからの所以でしょう。

その吹き抜けを眺めながら展示コーナーに入ります。

クロード・モネの部屋
そもそもモネの睡蓮を入手した事で始まったこの美術館構想。
なんで現代アートの美術館にモネ?と不思議に思いますが、
睡蓮の部屋が絵画を使ったインスタレーションだと考えると、
ラインは繋がってくる、と言う事らしいです。

で、前室に入るとちょうど展示室の開口からこれぞとばかりの
バランスで正面に絵画が見える。
真っ白な部屋、床は細かいキューブ状の石が敷き詰められて
いる(埃が間に詰まって掃除が大変そう、だから靴を脱ぐ)。
角がない部屋。天井は間接照明?と思ったら間接自然光だ。
直接的な明かりが無いのに充分明るい空間(壁が白だからか)。
余計な物がない、まさに、絵の為の部屋とはこういう物だろう。

本では睡蓮の部屋やコルビジェのロンシャン礼拝堂、ガウディ
のサグラダファミリア、マティスのヴァンスチャペル、ロスコ
チャペル等と共に「美的経験の場、美的経験の質を問題にして
いる作品」として取り上げられていたタレルとデ・マリア。

ジェームズ・タレルの部屋
タレルの作品は3つ。前室に光の立方体。
そして「オープン・フィールド」の部屋と「オープン・スカイ
の部屋。今回オープン・フィールドを体験した時には他に客が
居なくてこの部屋独占!ってな状態でした。天も地も奥行き
も判らなくなるような空間の中に入って感じる光、独り占め。
でも、なんだかんだ言って一番好きなのはオ-プンスカイ。
天井のふちに切り取られた絵画の枠のような間からぼっーと
眺める空。そして青い空の中で流れていく雲。(天気良かっ
たんですよ)。これは絵でもない映像でもない。絵でも表現
できない、映像でも表現できない、実際のそら、それ以外の
何物でもない、それ以外に例えようがないもの。
石のベンチに座り、石の壁に背をもたれ、ただただ空を眺め
ると言った行為が芸術となりうるその不思議で自然な体験。
夕刻にやると言うナイトプログラムを体験できなかったのが
残念でした(週末しかやってないようです)。

ウォルター・デ・マリアの部屋
最期はデ・マリア。とてつもなく大きな空間。神殿を思わせる
その部屋に入ると階段状に登っていく構造になっている。
その階段の真ん中あたりに大きな石の球は備え付けられて
いる。眺めていると階段を転げ落ちてきそうな不安定な球体。
不安定さの中に鎮座まします、な感じが神秘さを醸し出す。
天井の中から差し込む光が球体に映っている。上から、下
から、横から、球体を見つめ、引いて空間全体を見つめ、
その意味する物を考えると言うよりも、意味など無くてもいい
ので感じてみる、そう言う空間でした。

でも、やっぱり感慨深いのは第4のアート作品なこの建築。
地下なのに必要な部分には自然光が入り込み、そうでない
部分は暗い、その明暗がはえるべく作られた建築。

本の中から取り出した言葉でまとめると
「三つのアーティストの場と二つの中庭(三角と四角)、斜め
の壁、支えのない切れ目。」
きっとこの美術館に来た事ある人ならこの言葉だけであの
空間が想像できるのではないかと思います。

各アーティストと作り上げた、ここでしかない、ここだけの
空間(作品にあわせて作り上げていった空間)。
パーマネントな作品だからこそ出来た建築であり、この設計
者だからこそ出来た空間だし、このアーティスト達と作品
だからこその設計である、この美術館。

最期にカフェに行く。
片面がガラスで海への眺めが広がるこのカフェ。
Photo_cafe (HPから)
飲み物を頼んで外のテラスに出ることが出来る。
海が広がっている。
遠くにベネッセハウスが見える。
Pict0081
右中の方がミュージアム、その左上が別館(Oval)です。

テラス側から見た美術館のカフェ部分。
Pict0079

地面の中って事で何か秘密の空間に来たような、そんな感覚
を味わう事が出来ます。

ちなみに、チケットは美術館から少し離れているところで買い
そこから美術館まで歩いていきます。
その途中にはモネが好きな植物を植えた池がある「地中の庭」
があります。
Pict0073

 

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